<タックスニュース>

景気「急降下」で増税論議「急上昇」

 政府・財務省は、4月27日に閣議決定した2009年度1次補正予算案で、同年度予算の税収見積もりの下方修正を見送った。2009年度予算は昨年12月に提出したばかり。それからわずか4カ月しかたっておらず、2008年度の税収ですら6月上旬まで確定しないなかで、「この時期の見直しはさすがに早すぎるし根拠も薄弱」とする常識的な判断が勝った模様だ。
 しかし、財務省内では予算書を印刷に回す4月17日のぎりぎりまで、税収の下方修正を議論していた。年度が始まったばかりの4月に、早くも税収見通しの下方修正が真剣に議論されること自体が、日本経済の落ち込みの激しさを物語っている。
 今回は下方修正を見送った2009年度の税収だが、状況は極めて深刻だ。2009年度当初予算案は、税収を2008年度当初比で7兆4510億円も下回る46兆1030億円に設定したが、政府が見積もりの前提とした2009年度の経済成長率は、昨年12月時点の0%から4月28日にマイナス3・3%に下方修正された。最終的には40兆円台前半に落ち込むのは必至で、新規発行額が44兆円の大台に乗った国債収入を下回る可能性も濃厚だ。
 ところで、2007年度に51兆円だった税収が急速に落ち込んだ背景には、法人税の大幅な落ち込みがある。法人税は企業の利益にかかるため振幅が大きく、2月末の累計徴収額は6・4兆円と前年同期を21%も下回った。一方で安定感があるのは消費税で同6.8兆円と0・3%しか減っていない。財務省内では「やはり消費税の安定性は際立っている」と評価する声が高まっており、消費増税の流れをさらに後押しする可能性もある。

<タックスワンポイント>

出張費にも調査の目??旅費規程もチェック

 新型インフルエンザの影響で、海外出張を禁止する企業が増えているが、国内出張は相変わらず活発だ。会社が支給する出張費は一般的に旅費規程に基づいて支給する。この出張費は、その金額が常識の範囲を逸脱していない限り、給与課税の対象とはならないが、その金額が出張の実状とかけ離れていれば、たとえ社長でもあっても、税務署は黙ってはいない。
 出張費の「常識」だが、役員を含むすべての社員においてバランスの取れた基準で計算されているかどうか。つまり、旅費規程の適正性がまず問題となる。同業種、同規模の企業が支給している金額も判断要素のひとつとなるだろう。
 ちなみに、出張の多い社員に対して、毎月一定額の旅費を支払っているケースもある。この場合、出張の実状と照らし合わせて、業務遂行に必要だと認められるならば給与課税されない。ただし、月ごとの出張回数に変動があり、支給された旅費が余ってしまう月がでてくると、その余った金額部分は企業側に源泉徴収義務が発生する可能性もある。
また、単身赴任者が出張に併せて自宅に帰省するケースもある。この場合、出張行程の前後1日程度の帰宅日であれば、出張と考えてもよさそうだ。

税理士法人早川・平会計