<タックスニュース>

税制改正大綱の輪郭チラリ 12項目を議題に設定

 政府税制調査会で、12月11日に迫った大綱取りまとめに向けた議論が、ようやく輪郭を見せ始めた。 税調は11月10日、幹部会合である企画委員会を初開催。今後のスケジュールや、12項目に及ぶ議題を設定した。肝心の議題は、税制について考え得る限りの課題を広く網羅。たとえば政策減税措置である租税特別措置の見直しは、今年度末に適用期限を迎えるものを中心に、国税だけで78項目を今回の議論対象にする。
 また鳩山政権の目玉政策のひとつであるガソリン税などの暫定税率の廃止問題や、それにともなうエネルギー課税、地方環境税の検討も喫緊のテーマだ。鳩山由紀夫首相が増税に前向きなたばこ税も年末までに一定の結論が出される見通しだ。
 一方で議題のなかには、一応は議論するが中長期的課題として税制改正大綱には具体的な方向を盛り込まないものも含まれている。納税者番号制度の導入を中心にした納税環境整備や、NPO(非営利組織)への寄付税制などは具体的な議論を始めれば簡単には結論が出ないとみられるため、中長期的な議題に分類されそう。意思決定方式については、税調全体会合での全会一致方式を原則とするが、紛糾して結論が出なかった項目は、幹部に決定を一任する方向だ。

<タックスワンポイント>

法人税調査真っ盛り 狙われる赤字企業

 税務署は調査シーズン真っ盛り。今年は経済状況を受けて、赤字企業の調査を充実させているようだ。国税庁がこのほど公表した法人税の調査事績によると、平成20事務年度に行われた無所得申告法人への実地調査件数は、全調査件数の約3分の1に当たる4万9325件。前年度から3千件ほど増加している。また、実地調査した無所得申告法人の14%に当たる6956件は本来黒字申告すべき法人だったという結果が出ている。
 税務調査の傾向としては、売上利益とたな卸し高に大きな変化は生じていないか、交際費の処理、といった項目がチェックされるのはもちろん、社員から聴取した給与額が帳簿額と合致しているか、消耗品のなかにたな卸資産とすべき貯蔵品はないか、雑費のなかに役員の個人負担とすべき項目が含まれていないか、といった項目。そのほか領収書も、役員個人の買い物を経費に上乗せしていないか、ということを確認するため、「上様」や「品代」と表記されているものや、手書きのもの、ゼロの多い金額のものは念入りにチェックされる。
 また、今年度は赤字法人の割合が過去最高を記録したため、欠損金の繰戻還付制度を適用した法人が多いことが推測される。「適用すると必ず税務調査が入る」とのうわさもあるだけに、今年の税務調査は”還付金絡み”が狙われそうだ。

税理士法人早川・平会計