<タックスニュース>

税調で頓挫する環境税議論  選挙がらみで腫れ物扱い

 政府税制調査会は1月28日の会合で、納税環境整備、市民公益税制、控除廃止の影響調査??に関する3つのプロジェクトチーム(PT)の設置を確認。外部有識者で構成する専門家委員会の創設も正式決定したものの、2010年度税制改正大綱で「2011年度実施に向け成案を得るべく検討を進める」としていた地球温暖化対策税(環境税)の検討組織については、依然、始動のめどすら立っていない。
 「税制改正関連法の成立に向け、事務方は政令や省令の作成などに追われる。3つのPTに加え、専門家委も立ち上がるとなると、環境税まで手が回らない」。税調事務局は釈明する。ただし、環境税が敬遠される理由はそれだけではない。「大綱は早期導入をうたったが、実際にはそう簡単な問題ではない。税調幹部と話しても、環境税は当面、触りたくないという雰囲気がありありだ」。税調関係者はこう打ち明ける。
 環境税は化石燃料に幅広く課税する仕組み。産業界にとっては負担増で、電気やガス料金の値上げなど家計への影響も避けられない。政府・与党内には今夏の参院選を控え、国民負担をともなう議論はできるだけ避けたいとの思いが強く、それが環境税にブレーキをかけているのが実態だ。消費税同様、環境税の議論本格化もしばらく先になりそうだ。

<タックスワンポイント>

確定申告・長期優良住宅特例が登場??ローン控除適用にも注意

 平成21年分の所得税確定申告が2月16日からスタートする。今回から新しく税制改正の影響を受ける部分をチェックしておきたい。ローンを組んで住宅を購入・新築または増改築した場合に、年末ローン残高に一定の控除率を掛けた額を所得税額から控除する「住宅ローン控除」。適用期限が「同25年12月31日までの入居」へと延長されるのと同時に、同21年1月1日以後入居した場合の控除期間、年末ローン残高の限度額、控除率が改められたので確認が必要だ。
 同じ住宅でも「認定長期優良住宅」を新築・購入した人には、住宅ローン控除の内容がさらにおトクになった特例が登場。同21年6月4日以後の入居から適用できる。
 認定長期優良住宅の場合、ローンを組まずとも一定要件を満たせば所得税の税額控除となる「認定長期優良住宅新築等特別税額控除」もある。ただしこちらと住宅ローン控除の特例はどちらか一方のみの選択制なので注意したい。
 株取引に関する新しい措置も注目だ。配当所得はこれまで、原則総合課税の対象だった。同21年分確定申告から、上場株式等の配当等(大口株主等が支払いを受けるものを除く)については、総合課税のほか、7%(住民税3%)の税率の申告分離課税が選択可に。
 また、上場株式等の譲渡損失がある場合、その額をその年分の上場株式等の配当等に係る配当所得の額から控除できるようになった(申告分離課税選択した場合に限る)。控除対象には、その年の上場株式等に係る譲渡損失のほか、その年の前年以前3年内の各年に生じたものも含まれる。

税理士法人早川・平会計