<タックスニュース>

政府税調PT  NPO新税制の基本方針

 特定非営利活動法人(NPO)に対する寄付税制について、政府税制調査会の市民公益税制プロジェクトチーム(PT)は、基本方針をまとめた。現行の所得控除に加え税額控除も認め、対象NPOの認定基準を緩和するのが柱。近く政府税調に報告し、2011年度の税制改正を目指す。
 現在の税制では、寄付金から2千円を超える額を課税所得から控除できるが、低所得者にもメリットが及ぶ税額控除を併用し、寄付文化のすそ野拡大を図る。どの程度まで税額控除を認めるかは、今後の税調の議論に委ねる。
 PTでは7回にわたり有識者からのヒアリングを重ね、渡辺周総務副相や峰崎直樹財務副相らを中心に議論を続けてきた。全額税額控除の是非については、「全額だと丸ごと寄付になる。果たしてこれが税制といえるのか」(渡辺総務副相)などと、PTではネガティブな意見が大勢だった。
 ただ、鳩山由紀夫首相が、「新しい公共」円卓会議で全額控除に前向きな発言をし、PTに対しては、取りまとめ作業の1カ月前倒しを指示するなど、意欲的な姿勢を貫いている。「PTメンバーは税調メンバー。ここでの議論がほぼ反映される」(政務三役)との思いをよそに、年末までに結論がひっくり返る可能性もある。

<タックスワンポイント>

新入社員研修なら税額控除  優遇措置を見逃すな!

 超氷河期といわれる就職戦線だが、新入社員を迎え入れた企業も多く、関連税務についてあらためて確認しておきたい。まず、勤務地から遠方に居住している新入社員には「赴任手当」を支払うことがあるが、この赴任手当はそれが妥当な額ならば特に給与として課税されることはない。また、歓迎の意味を込めて「入社式」を行った場合、その費用は福利厚生費などとなる。入社後の研修に要した費用は、一定の条件をクリアしていれば、教育訓練費などとして費用処理することが可能だ。
 さらに、「人材投資促進税制」も忘れないでおきたい。同税制は、「教育訓練費」の支出があり、労務費に占める教育訓練費の割合が0・15%以上の場合に、割合に応じて税額控除が受けられるというもの。対象者は法人・個人事業にかかる使用人。入社予定の内定者は対象外なので注意が必要だ。また役員や個人事業主、使用人兼務役員、役員・個人事業主の親族も対象外だ。
 なお、入社前に行った研修は、社外の人間へ対する費用なので「交際費」としてみる向きもあるだろうが、実はこれは「会議に関連する費用」などとして交際費から除くこともできる。入社後、スムーズに業務を行えるように実施するためと捉えられるためだ。

税理士法人早川・平会計