<タックスニュース>

財源なき「法人税引下げ」構想  内需拡大で健全化!?

 法人税の実効税率を国際的な水準まで引き下げることを柱にした経済産業省の成長戦略「産業構造ビジョン」が、波紋を広げている。財務省内には「減税にも例外なくペイ・アズ・ユー・ゴー(新規事業や減税に必ず財源を用意する財政ルール)が適用される」との声があり、実現が疑問視されているからだ。
 法人税の表面実効税率(2009年)をみると、EU平均は約27%、アジア平均は約25%なのに対し、日本は40・7%と高止まりしている。EUもアジアもこの10年間で水準を下げ、企業を誘致する競争力を高めようとしている。経産省は、国内への投資の増加や企業の海外流出を抑止することで、国内雇用の維持・増加と経済の自律的な成長をもくろんでおり、「安定的な経済成長を実現し、財政健全化にも貢献する」とアピールに懸命だ。
 こうした経産省の熱意に対して財務省は、「財源をどう考えているか知らないが、いずれにしても秋以降に議論される税制改正大綱の論点のひとつでしかない」(幹部)と冷ややかだ。鳩山政権が参院選の看板に掲げようとしている新成長戦略をめぐる両省の駆け引きに注目が集まりそうだ。

<タックスワンポイント>

個人が電気を売る時代  意外な税サポートも・・・

 太陽光発電協会によると、太陽光による発電システムを導入している家庭が、余剰電力を電力会社に販売するケースが大幅に増加しているという。電力会社の買い取り単価は、最近大幅に引上げられたそうで、1キロワット時当たり48円(一般住宅の場合)。
 税務上はこうした一般家庭の売電料は雑所得扱いとなる。そのため、ほかの雑所得と合わせて20万円以上となる場合には確定申告が必要となる。ちなみに、太陽光発電に必要な設備の設置に要した費用について経費となるのかどうか、国税当局は、「余剰部分にかかった経費はこれだけと明確に区分できなければ、経費として認められない可能性もある」としている。
 また、発電設備の設置にかかる優遇特例として、「住宅リフォーム減税」が活用できるケースがある。これは個人が自宅の改装を行った際に税額控除を受けられる制度だ。ただし、すべての居室の窓全部を改修したうえで設置した場合にしか適用されない。
 そのほか、太陽光発電設備容量1キロワット当たり7万円の補助金が受けられる制度がある。環境重視の時代、エコへの配慮には様々なインセンティブが付いてくるようだ。

税理士法人早川・平会計