<タックスニュース>

消費税の増税論議ぱったり・・・  小澤幹事長の”鶴の一声”

 活発化していた消費税増税議論が、5月17日でぱったり止まってしまった。その日、民主党の小沢一郎幹事長が「少なくともわたしの周りではそういう議論はしていない。まず、最初に取り組むことはムダを省く決断を政治家がすることだ」と言い切ったからだ。
 その4日前。民主党の参院選マニフェスト企画委員会の後、出席者が「消費税を上げないと、日本の財政は危機的な状況を乗り越えられないと一致した」と発言したことが騒動の発端となった。その直後から民主党幹部が「決まったことではない」と否定的な考えを示したことで、企画委員会側は「次の総選挙後に消費税も含めた税制抜本改革を行う」とトーンを抑えた。それさえも小沢幹事長の発言で暗礁に乗り上げマニフェストの決定日は延期に。
 一方、1980年代以降の税制改正について検討していた税制調査会の専門家委員会は、当初「5月の連休前には、議論を取りまとめたい」(峰崎直樹副財務相)としていた。議論をまとめると、消費税増税になんらかの表現で触れざるを得ず、こちらも小沢幹事長の発言でストップ。「関心は低いし、まとめなくてもいいんじゃないか」と、あきらめの声も聞こえてくるほどだ。関係者は小沢幹事長の発言に神経を尖らせている。

<タックスワンポイント>

平成21年分所得税は大幅減  個人事業者の落ち込み顕著に――

 国税庁はこのほど、平成21年分の所得税の確定申告状況を発表した。回復基調にあると言われるわが国の経済だが、発表された内容を見るに、依然として厳しい状況にあることをうかがわせる結果となった。とりわけ苦しい状況にあるのが、個人事業者。申告件数こそ微減にとどまったが、所得金額、納税額ともに大幅に減少している。
 発表によると、平成21年分の所得税の申告人員は2367万4千人で、前年より1万9千人の減少。申告人員が減少に転じたのは、平成10年以来12年ぶり。うち申告納税額のあるもの(納税人員)が717万6千人(4・6%減)、所得金額が35兆3865億円(10・6%減)、申告納税額が2兆2725億円(14・2%減)となり、いずれも減少している。
 個人所得の落ち込みが顕著に表れている同21年分申告だが、とりわけ厳しい状況にあるのが個人事業者だ。同21年における事業所得者の納税人員は147万2千人で前年より11・2%減少。所得金額は5兆7179億円(11・5%減)、申告納税額は4853億円(8・1%減)と、いずれも大幅に減少した。事業所得者の申告人員が2・7%の減少にとどまっていることから、新たに赤字転落した事業者、赤字幅を拡大した事業者が相対的に増加したことが分かる。

税理士法人早川・平会計