<タックスニュース>

空転する主税局「消費税シフト」  抜本改革への道遠く……

 財務省の今夏の定期人事異動は、丹呉泰健事務次官が勇退し、勝栄二郎主計局長が昇格、後任の主計局長に真砂靖官房長が就き、上層部は既定路線通りに進んだ。注目を集めたのは「消費税シフト」の様相となった主税局。
 特徴的なのは、課長以上のほとんどが留任した点だ。中江元哉総務課長兼税制第一課長の税制第一課長兼務を解き、第一課長に藤井健志主計官を据えた以外は、昨年夏に就任した古谷一之局長をはじめ、新川浩嗣税制第二課長、安居孝啓税制第三課長、諏訪園健司調査課長がいずれも続投となった。田中一穂審議官は「次の主税局長」のポストでもある国税庁次長に就いた。
 現行の主税局幹部メンバーは「(昨年の民主党による)政権交代後の税制改正をそつなく乗り切った」と財務省内では評価が高い。菅直人首相が参院選前に表明した「年度内の消費税を含む税制抜本改革の取りまとめ」に手腕を発揮させようとした。
 しかし、参院選での民主党の大敗が誤算となった。人事が発令される段階では、すっかり消費税議論は下火になり、永田町では「年度内の税制抜本改革の取りまとめは不可能」との声が主流に。財務省幹部は「10年に一度のチャンスだったのに…」と嘆くばかりだ。

<タックスワンポイント>

もうすぐ終了エコカー補助金  法人なら圧縮記帳も

 エコカー補助金が9月末に終了することを受けて、全国の販売店では”駆け込み”商戦が活況だ。同補助金は、最初の新車登録から13年以上経過した自動車を廃車にしエコカーを購入した場合には25万円、廃車をともなわない購入に対しても10万円の補助金が交付されるというもの。9月末までに新車登録が済んでいることが交付要件となっており、納車まで数カ月かかる人気車種への買い換えを検討している人は、そろそろタイムリミットとみたほうがよい。
 また、次世代自動車振興センターによると、事業用エコカーに対する補助金は、国の予算304億円に対し、すでに293億円(7月26日時点)を超える申請が来ていることから、9月末を待たずして受付が終了する可能性が高い。そのため、経済産業省では「申請書が受理されても、申請額が予算を経過することで補助金が交付されないこともある」と注意を促している。ところで、これから補助金を受け取る人は、その税務処理をきっちりと押さえておきたい。
 同補助金は、国の「環境対応車普及促進対策補助金」として交付されるものなので、個人であれば、総収入金額に算入されず、課税対象とはならない。また、法人であれば、補助金額の分だけ自動車の帳簿価額を減額し、その差額を損金とする”圧縮記帳”が可能だ。

税理士法人早川・平会計