<タックスニュース>

霞が関で早くも”木枯らし1号”  原因は首相肝煎りの雇用税制

 菅直人首相が政府税調に対して出した、雇用促進税制の検討を求める指示が官僚の間で波紋を広げている。その一節は官邸が主導して盛り込んだもので、どこかの官庁が要望したわけではなかったからだ。
 雇用促進税制は、雇用の増加に応じて企業の税負担を軽減する措置。官邸側は仙谷由人官房長官が主導して、菅首相が言う「雇用、雇用、雇用」を政策に落とし込もうとした。新たな減税となるため、官邸の動きを察した財務省は直前に猛反発したが押し切られ、財務省幹部は「青天のへきれき」と吐き捨てた。
 経産省も決して積極的な姿勢ではない。経産省は法人税率の5%引き下げを年末に向けての税制改正作業の「大玉」としたいため、余計なモノは抱えたくないからだ。厚生労働省にしてみれば、すでに同じような趣旨の補助金を実施しており、政策が重複してしまうので戸惑いがある。
 政府税調に雇用促進税制を検討するプロジェクトチームが設置されたとしても、このままでは推進役が不在になる。首相指示には「措置を平成23年度税制改正で講ずる」とあり、同じ指示でも「同23年度予算編成・税制改正作業の中で検討して結論を得る」となっている法人税率引き下げよりも期限が前。一から検討するには残された時間は少ない。
 もっとも、新成長戦略実現会議そのものが、党代表選を控えていた菅首相がリーダーシップを発揮する姿をアピールするための場だった、との見方が強く、「2回目はないのでは」との冷めた声も官僚から聞こえる。狙いとは逆に、菅首相の霞が関での指導力の低さを浮き彫りにしてしまった。

<タックスワンポイント>

リコールで交換や返金  補償で代替えならば圧縮記帳

 ホンダは先ごろ、駐車ブレーキに不具合があるとして、軽自動車「ライフ」のリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出た。対象車は平成20年10月~同21年9月製造の8万1261台。自動車がリコール対象となった場合、メーカーが無償修理を行うが、自動車に限らず、リコールの対象商品は一般的には交換や返金などの手段で補償を受けることになる。
 このような場合、補償を受けた側で、利益として認識する必要があるのかどうか気になるところ。無償修理については、資産の増加とする必要はなく、税務上の処理は発生しない。これが代替資産との交換となった場合、新規取得価額をそのまま計上するわけではなく、法人税法47条2項の規定により圧縮記帳することになる。
 一方、返品・返金となった場合は、返金と同時に新規資産を取得すれば同法同条1項により圧縮記帳が可能だが、取得しなかった場合は雑収入として計上する必要がある。さらに、商品を使い続けることはできるが瑕疵(かし)があるなどで損害賠償金を得た場合、損害賠償金は雑収入として処理することになる。

税理士法人早川・平会計