<タックスニュース>

税制PTが新メンバーで再始動  座長に中野寛成氏

 民主党政調に設置された税制改正プロジェクトチーム(PT)が、菅改造内閣の発足にともないメンバーを改め本格始動した。財務副大臣に起用された五十嵐文彦衆院議員に代わって、座長には自社さ連立政権で税制改正に携わった中野寛成元衆院副議長を起用。財務政務官に就任した尾立源幸参院議員の後の事務局長には、古本伸一郎前財務政務官が就き、党と政府が入れ替わるかたちになった。
 税制改正PTは週2~3回のペースで総会を開き、11月上旬までに主要な租税特別措置の改廃方針をまとめ、11月末には法人税率引き下げや所得税の控除見直しなどの議論をまとめて政府税調に提言する予定だ。併せて、地球温暖化対策税(環境税)を集中的に検討する小委員会も設けて、民主党が考える環境税のありようを政府税調に提言する。
 昨年9月の政権交代後、党税調が税制改正大綱をすべて決める自民党政権時代の「二重権力」の払拭を目指した鳩山政権は、民主党税調を廃止し、政府税調に機能を一元化して、平成22年度税制改正に臨んだ。その結果、政府税調は各省の副大臣が省の利害を代表して主張する場になり、議論は暗礁に乗り上げ、年末ぎりぎりに小沢一郎幹事長(当時)が党要望を突きつけて、政治的に難しい課題を決断できた。
 民主党内に再び「党税調」が発足したのは、不透明と批判された党要望のプロセスを「見える化」すると同時に、税に詳しい議員を養成する狙いがある。ただ、総会ではまだ深みのある議論には至っておらず、財務省内には「ちゃんと提言をまとめられるのか」と心配する声すら漏れ始めている。

<タックスワンポイント>

グループ法人税制いよいよ適用  寄付金は従来通りのケースも

 平成22年度税制改正の目玉「グループ法人税制」が10月1日以降の取引からいよいよ適用開始だ。とくに、対象の大前提となる「完全支配関係」についてしっかり確認しておきたい。
 完全支配関係とは、会社の発行済み株式の総数を100%保有している関係を指す。完全支配関係には、①一の者による当事者間の完全支配関係②一の者との間に当事者間の完全支配関係がある場合の法人相互の関係――がある。
 ①はシンプルで、Aが子会社Bを完全支配している場合のAB間の関係。②はAが完全支配するのがB社とC社など、兄弟会社がある場合のこと。完全支配の判定は発行済み株式などを100%保有しているかどうかであって、事業上のつながりがあるかは考慮されない。全く別の業種であっても、完全支配関係にあるならグループ法人税制が適用される。
 頂点となる「一の者」は個人・法人を問わない。個人が完全支配の会社を持っている場合、「一の者」は「1人」という意味ではない。頂点が個人のときは、親族などいわゆる同族関係者をまとめて「一の者」とされる。株主らの関係を明確に把握しておくことが必要だ。
 頂点が個人・法人の違いは、税務上にも影響する。たとえば、兄弟会社の間で寄付金のやりとりがあった場合、頂点が法人であればどちらにおいても益金・損金不算入。しかし頂点が個人だと、通常通り寄付した側は損金算入限度額を超えた金額を損金不算入、受け取った側は全額益金となる。

税理士法人早川・平会計