<タックスニュース>

「税と社会保障」調査会スタート  藤井元財務相が再び表舞台に――

 民主党「税と社会保障の抜本改革調査会」の初会合が10月13日に開催された。同調査会は、菅直人首相の方針「強い財政・強い経済・強い社会保障」を一体的に議論し、社会保障およびそれにかかわる税制についての基本的な考え方を取りまとめる。同調査会の会長を務めるのは、藤井裕久元財務相。会長代行に小沢鋭仁前環境相、事務局長に大串博志政策調査会副会長(前財務政務官)がそれぞれ就任し、政府側のオブザーバーとして峰崎直樹内閣官房参与が参加することとなった。
 藤井会長は冒頭のあいさつの中で「民主党が(税・社会保障について)どのような方向を向いているのかぼやけている。参院選や党代表選などでぼやけてしまったものを元に戻す」と話し、原点回帰を強く訴えたほか、この日出席した議員に対し「具体的な数字には一切触れないでいただきたい」と、強く念を押した。「数字に触れた結果が、この間の参院選」(藤井会長)と、数字が一人歩きすることを嫌ったようだ。
 ところで、党内にはすでに中野寛成議員が座長を務める税制改正PT(中野PT)があり、今回の調査会発足により、税制について議論する場が2つ存在することになった。藤井会長は、これら2つのすみ分けにも言及。同調査会は「中期的・長期的なテーマについて議論を行う場」として、消費税や納税者番号制度について「真っ向から議論していく」(同)。与野党協議に向けた民主党案を整備し、年内をめどに取りまとめを行う方針だ。

<タックスワンポイント>

生保二重課税で取り扱い変更  還付のつもりが逆に納付も!?

 生保特約年金の二重課税に係る最高裁判決を受けて当局ではこのほど、所得課税の取り扱い変更を発表したが、すべてのケースで税金が還付されるのではなく、二重課税の対象となっていても、むしろ納税になる可能性がある人がいるという。
 所得税の還付対象となるのは、①死亡保険金を年金形式で受給している人②学資保険の保険契約者の死亡にともない養育年金を受給している人③個人年金保険契約に基づく年金の受給権を相続した人――などで、源泉徴収された所得税が確定申告などで全額還付されていなければ、今回の判決により還付の対象となる。
 年金型の保険金は税務上、雑所得に該当し、原則申告の義務があるわけだが、保険金の所得をほかの所得と合算しても、所得税の累進税率区分が源泉税率と同じ10%ならば、保険金について確定申告してもしなくても、納付する所得税の総額は変わらない。
 しかし、本来の所得税の累進税率が5%以下の人ならば差額が還付されるし、反対に、20%以上の人なら差額について納付する必要があったということになる。つまり、保険金を合算したことで所得税の税率の区分が変われば、最終的な所得税額は大きく変わってくる。
 国税庁は、「元はといえば申告義務を果たしていなかったわけであり、原則として課税になるだろう」としているので、まずは、税務署に”電話で相談”――というのが、賢明かもしれない!?

税理士法人早川・平会計