<タックスニュース>

首相、消費増税へ不退転の覚悟  平成23年6月までに改革案

 菅直人首相が、消費税増税に再び踏み出した。政府・与党社会保障改革検討本部が決定した「税と社会保障の一体改革に向けた基本方針」は、消費税増税を念頭に平成23年6月までに税制改革の案をまとめると明記した。
 菅首相の決断要因のひとつに、「遅滞なく税制抜本改革を行うため、平成23年度までに必要な法制上の措置を講じる」と、麻生政権が所得税法の付則に書き込んだ税制抜本改革への道筋がある。政権交代後の鳩山政権で付則の削除が浮上したが、なぜか見送られた。それどころか、菅首相は付則に従おうとしている。年明けから与野党協議に入り、秋の臨時国会で関連法改正を果たせれば、同25年度までには消費税を増税できるというシナリオも一部では語られ始めている。
基礎年金の国庫負担割合50%を維持するための年2・5兆円は、同23年度は埋蔵金などで賄おうとしているが、同24年度以降はそれも尽きてくる。そこで、同23年度中に消費税増税を法的に決定して、同24年度は同25年度の消費税の増税分を担保に国債を発行してつなげば、税外収入に頼ることなく、基礎年金問題を解決する案も浮上している。
与野党協議をまとめられるだけの政治力が同23年、民主党政権に残っているかが最大のハードルとなりそうだ。

<タックスワンポイント>

忘年会で使った交際費  5千円基準を賢く活用

 年末年始シーズン、企業では取引先や関係企業の従業員を交えて忘新年会を行うことも多いが、そこで支出した費用の税務処理には注意を払っておきたい。というのも、交際費には「5千円基準」と呼ばれる、ありがたい制度が存在しているためだ。
 「交際費の5千円基準」とは、交際費の範囲から「1人当たり5千円以下の飲食費」が除外されるというもの。通常、中小企業が支出する交際費は、600万円までの部分については10%のみが損金不算入、つまり、90%は損金として計上できる。ところが、600万円を超えた部分については、全額が損金不算入。そのため、通年の交際費をなるべく600万円以内に抑えることが、経営上最も効率的なのだ。その点、この「5千円基準」は、交際費の額を圧縮するのに非常に有効なのである。
 なお、「5千円基準」を適用する場合には、必要事項を明記した書類の保存が求められる。ここでいう必要事項とは、飲食費を支出した年月日や、飲食に参加した得意先・仕入先の氏名や名称、参加人数、飲食費の金額ならびにその飲食店の名称や所在地など。交際費処理は税務署のチェックも厳しいので、適用に当たっては抜かりのないようにしたいところだ。
 ところで、1人当たりの飲食費が5千円を超えた場合は、支出した飲食費の全額が交際費となってしまうので注意が必要だ。

税理士法人早川・平会計