<タックスニュース>

ねじれ国会で滞る税制改正  アノ”揮発油税失効”の再現も

 平成23年度予算案と関連法案の審議が始まった。民主党は国民新党との連立でも参院で過半数を確保しておらず、衆院では3分の2に満たない完全なねじれ状態。予算案は衆院の優越が認められているが、問題は税制関連法案だ。法律案は予算案と違い、衆院で可決され参院で否決された後に成立させるには、再び衆院で出席議員の3分の2以上で可決する必要がある。
 しかし、衆院では与党が3分の2に達しておらず、「統一地方選が終わるまでは、野党は対決姿勢を崩さない」(財務省幹部)と見られるため、3月末で期限が切れる税の軽減措置で4月以降の継続を税制関連法案に盛り込んでいるものは、法案が成立しないと3月末で失効する。
4月1日から失効するのは、海外旅行者が国内に大量の紙巻きたばこやウイスキーなどの酒類を持ち込む際にかかる税を軽減・簡素化する措置や、住宅用家屋を登記する登録免許税の軽減措置など。ガソリン税の暫定税率が約1カ月にわたって失効した3年前の二の舞いになりかねない。
 深刻な影響が予想されるのは、関税関連法の改正案だ。10年ごとに更新している特恵関税制度の期限は3月末。失効すれば輸入現場に混乱を招きかねない。財務省は関税関連法改正案の優先審議を求めているが、野党は民主党への対決姿勢を崩していない。

<タックスワンポイント>

法人税率引き下げの光と影  3月末に8租特がサヨウナラ

 現在、約300ある租税特別措置(租特)だが、法人税率の引き下げに伴う財源確保などを観点から、廃止もしくは延長されない制度が数多くある。平成23年度税制改正の租特見直しで対象になったのは、一定の政策目的がある上で導入された「政策税制措置」だ。同23年度では109措置をピックアップ。8措置が「廃止」、42措置が税率の引き上げや措置の一部廃止など「縮減」、合計50措置が見直された。
 今年3月末には以下の8措置が廃止となる。①エネルギー需給構造改革推進設備等を取得した場合の特別償却または法人税額の特別控除、②事業基盤強化設備等を取得した場合等の特別償却または法人税額の特別控除、③地震防災対策用資産の特別償却、④事業革新設備等の特別償却、⑤事業所内託児施設等の割増償却、⑥植林費の損金算入の特例、⑦商工組合等の留保所得の特別控除、⑧特定農業法人が遊休農地を取得した場合の所有権の移転登記の税率の軽減。
 大半が法人税関係で、⑧のみ登録免許税関係。①の通称「エネ革税制」は、平成4年4月1日~同24年3月31日までに新品のエネルギー需給構造改革推進設備等を取得(または製作・建設)し使用を開始した場合に、一定額を上限とした特別償却か税額控除を認めるもの。エネ革税制は4月以降使えなくなるが、今回の改正で後継ともいえる「グリーン投資減税」が登場する。
 グリーン投資減税は、「エネルギー起源CO2排出削減または再生可能エネルギー導入拡大に相当程度の効果が見込まれる設備等」を取得した場合、30%の特別償却か7%の税額控除が適用できる。対象設備には、電気自動車から風力発電設備といったものまで幅広い「エコ設備」が入っている。

税理士法人早川・平会計