<タックスニュース>

柳沢氏表舞台にカムバック  元自民の税金通を続々抜てき

 社会保障と税の一体改革を目指す「政府・与党社会保障改革検討本部」は、産業界や労働界、有識者も含めて一体改革に向けた議論を深める下部組織として、「社会保障改革に関する集中検討会議」を設立することを決めた。一体改革担当大臣の与謝野馨氏が選定したメンバーには、自民党時代の与謝野氏の盟友で、自民党税制調査会長や厚生労働大臣などを歴任した柳沢伯夫氏が「サプライズ」で加わった。
 柳沢氏は昨年政界を引退し、城西国際大学の学長に就任していた。平成20年に「消費税の税率を少なくとも10%程度にまで引き上げる必要がある」と税制抜本改革に向けた基本的な考え方をまとめた自民党財政改革研究会は、与謝野氏が会長で、当時政調会長代理だった柳沢氏が設立を提案した。柳沢氏の抜てきは、自民党にも民主党にも驚きをもって受け止められた。
 さらに、「社会保障国民会議」の座長を務めた吉川洋・東大大学院教授や、「安心社会実現会議」座長だった成田豊・電通名誉相談役ら、自公政権時代に税と社会保障の抜本改革を中核で担ってきたメンバーを引き入れることによって、自公政権の方向性を踏襲して歩み寄り、与野党協議入りを促した。
 ただ、与謝野氏の入閣が引き続き与党からも野党からも批判を浴びており、その与謝野氏が主導した集中検討会議の人選も反発を受ける恐れがある。与謝野氏は国会審議がない毎週土曜日に会議を開き、一体改革への機運を高めていく意向だが、微妙な立場にある与謝野氏が実効力のある議論を進められるかは不透明だ。

<タックスワンポイント>

国税通則法が名称変更  長すぎると不評!?

 昭和37年に創設された国税通則法。「国税についての基本的な事項及び共通的な事項を定め、税法の体系的な構成を整備し、かつ、国税に関する法律関係を明確にするとともに、税務行政の公正な運営を図り、もつて国民の納税義務の適正かつ円滑な履行に資すること(同法第一条)」を目的とする法律である。
 そんな同法は、「税務行政において納税者の権利利益の保護を図る趣旨を明確にする」といった目的から、平成23年度税制改正において、納税者権利憲章の策定、税務調査の事前通知、更正の請求期間の延長、処分の理由付記など、創設以来の大改正が実施されることになり、併せて名称も変更されることが決まった。新名称は「国税に係る共通的な手続並びに納税者の権利および義務に関する法律」。改正後の法律の内容をよく表すものに、との趣旨からこの名称が採用された。
 今回の改名に対し、「ちょっと長いよね」「『国税通則法』はビシッと響きが良かった」「これだけ変わると、ややこしい」など、多くの税理士から戸惑いの声が聞こえてくる。中には「国税手続法がいいのだろうか…」「旧通則法?」と早くも略称を気にする人もチラホラ。
 政府税制調査会は自信満々の様子で半世紀ぶりの大改正をPRしていた。確かに、納税者の権利保護を目的とした大改正とあって、納税者サイドもおおむね歓迎ムードだが、改名に関してだけは「いただけない」という声の方が多いようである。

税理士法人早川・平会計