<タックスニュース>

ペイオフで預金切捨て!  「概算払い」の税務

 昨年9月、日本振興銀行の破たんにより、国内初となるペイオフが適用されることになった。これにより、同行への預金などの債権は預金保険機構が預金者一人当たり1千万円まで保護することになる。
 これにともない、同機構はペイオフ時の貸倒れに関する税務上の取扱いについて国税庁に照会。2月10日、同庁からの回答が公表された。
 金融機関が破たんした際、預金者の請求により、ペイオフで保護されない預金などの債権を同機構が買い取る制度がある。買取額は同機構が金融機関の資産を精査して決める「概算払率」によって計算する。日本振興銀行のケースでは、昨年12月に概算払率を25%と決定。今年秋頃に倒産手続により最終的な精算がなされるものとみられる。
 国税庁の回答では、この概算払率が決定した場合の税務上の取扱いを明確化している。所得税法では、概算払を受けていない場合、ペイオフで保護されない事業用預金の額と、その額に概算払率を乗じて計算した金額の差額を貸倒引当金として計上できる。払い渡しを受けた場合は、概算払額と概算払の対象となった預金額との差額を、払い渡しを受けた日の属する年分の必要経費に算入できるとされた。
 法人税法では、概算払いを受けていない場合、所得税法の取扱いと同様に算出した貸倒引当金の額を、その概算払率の公告日の事業年度に損金算入できる。払い渡しを受けた場合は、その支払日の事業年度で概算払額を益金算入するとともに、概算払の対象となった預金額を損金に算入するとされた。

<タックスワンポイント>

どうなる薬のネット販売  医療費控除の条件は?

 医薬品のネット販売の是非に関する議論が再燃している。医薬品は副作用の強さなどにより、薬剤師の対面販売が必要な第1類をはじめ、2類、3類に分類され、栄養剤やうがい薬など安全性の高い第3類以外は、通信販売は禁止されている。しかし、薬剤師が常駐することが困難な離島などでは、経過措置として今年の5月まで第2類医薬品のネットなどでの販売が認められており、この措置期限が切れたあとの扱いについて、審議が行われているのだ。
 税務で医薬品が関係するものといえば医療費控除。医療費控除の対象となるのは病院で処方された医薬品の購入費だけではない。その薬が「治療や療養のために必要な医薬品」として購入されたものなら、個人の判断で購入したものでも対象になる。しかし、ビタミン剤など、病気の予防や健康の増進のために購入したと認められる場合は対象外だ。
 分類の性格上、結果的に第1類に近いものが対象になることが多くなるだろうが、必ずしも分類によって決まるわけではない。例えば、第一類の胃薬「H2ブロッカー」は胃炎などの治療のためなら当然対象となる。また多くものが第2類に分類されている風邪薬も同様だ。第3類では、ばんそうこうや消毒液なら、用途によって対象になる余地があるといえるだろう。しかし、第1類でも微妙な扱いになるのが、禁煙用のニコチンガムやニコチンパッチ。毒物に指定されるニコチンが含まれるため、慎重な扱いが求められる医薬品だが、禁煙による「健康の増進」のために購入したと認められる場合は、医療費控除の対象にはならない。ただし、医師による「禁煙治療」の一環として処方されたものであれば対象になる。

税理士法人早川・平会計