<タックスニュース>

政府税調、復興増税に向け始動  固定資産など地方税の活用も

 東日本大震災の復興財源確保に向け、政府税制調査会(会長=野田佳彦財務相)での増税議論が始まった。政府税調は月内に所得税と法人税の定率増税を軸にした複数案を取りまとめたい意向。ただ、臨時増税は与野党内で反発が根強いことから、今後の調整は難航必至だ。
 政府が7月末にまとめた復興の基本方針では、今後5年間にかかる復旧・復興事業費を19兆円以上としたうえで、11年度第1次、第2次補正予算などで手当てした6兆円を除く13兆円を歳出削減や臨時増税によって賄う方針を示した。税調では、歳出削減や国有財産の売却などで約3兆円の確保を見込み、これを除く10兆円と1次補正に流用した基礎年金の国庫負担分2・5兆円を合わせた12・5兆円を「復興債」の発行で調達。さらにB型肝炎の和解金支払いに伴う7千億円を加えた約13兆円の臨時増税を検討している。税目では、被災者を除外しやすい所得税と法人税の増税が有力視されている。
ただ、両税だけでは負担感が重いうえ、法人税は、国際競争力低下への懸念などから経団連も「3年が限度」(幹部と主張。このため、税調は担税力のある消費税や、固定資産税など地方税も活用する複数案を作り、政府・与党の東日本大震災復興対策本部に示す方針だ。
 しかし、与野党内では増税への反発に加え、インフラ関連の復興事業には従来の建設国債の発行で充てる考えが強い。次期代表選は「増税派」の野田氏が有力だが、自民・公明両党との大連立を模索していることもあり、増税規模などは今後大幅に変わる可能性がある。第3次補正予算案の編成に残された時間は少ないが、「月内に増税の本格的な議論をするのは無理」(財務省)との声も出ている。

<タックスワンポイント>

国税庁 岩手・宮城・福島の一部地域  申告延長期限9月30日に

 国税庁は東日本大震災の発生により甚大な被害を受けた5県(青森・岩手・宮城・福島・茨城)について、国税に関する申告・納付などの期限延長を行っていたところ、告示で7月29日と指定した青森および茨城に続き、岩手、宮城、福島のそれぞれ一部地域については、延長期限の期日を平成23年9月30日とすると発表した。振替納税を利用する場合の振替納付日は、平成23年10月31日となった。なお、震災の影響で9月30日までに申告・納付などの手続きが困難な場合、所轄税務署長に申請して期限の延長措置を受けることが出来る。また、今回指定されなかった地域の申告・納付の期日は別途国税庁告示で定めるとしている。延長される地域は以下の通り。

 ▽岩手県=盛岡市、花巻市、北上市、久慈市、遠野市、一関市、二戸市、八幡平市、奥州市、雫石町、葛巻町、岩手町、滝沢村、紫波町、矢巾町、西和賀町、金ヶ崎町、平泉町、藤沢町、岩泉町、田野畑村、普代村、軽米町、野田村、九戸村、洋野町、一戸町
 ▽宮城県=仙台市、塩釜市、白石市、名取市、角田市、岩沼市、登米市、栗原市、大崎市、蔵王町、七ヶ宿町、大河原町、村田町、柴田町、川崎町、丸森町、亘理町、山元町、松島町、七ヶ浜町、利府町、大和町、大郷町、富谷町、大衡村、色麻町、加美町、涌谷町、美里町
 ▽福島県=福島市、会津若松市、郡山市、いわき市、白河市、須賀川市、喜多方市、相馬市、二本松市、伊達市、本宮市、桑折町、国見町、大玉村、鏡石町、天栄村、下郷町、桧枝岐村、只見町、南会津町、北塩原村、西会津町、磐梯町、猪苗代町、会津坂下町、湯川村、柳津町、三島町、金山町、昭和村、会津美里町、西郷村、泉崎村、中島村、矢吹町、棚倉町、矢祭町、塙町、鮫川村、石川町、玉川村、平田村、浅川町、古殿町、三春町、小野町、新地町

税理士法人早川・平会計