<タックスニュース>

自殺総合対策の推進に2億1千万円

 警察庁の統計によると昨年1年間の自殺者の総数は3万1690人となり、一昨年に比べて1155人減少したものの、今回も3万人を超えた。世間のコミュニケーションが希薄になりさまざまな社会問題を抱える現代では、自殺はもはや個人的な問題ではない。国全体として取り組むべき問題であるとして、現在では多種多様な団体が自殺問題に取り組んでいる。
 平成19年に閣議決定された自殺総合対策大綱では、9月10日の「世界自殺予防デー」にちなみ10日から16日までを「自殺予防週間」と定め、国、地方公共団体が協力して、幅広い国民の参加による啓発活動を強力に推進することになった。本年度は東日本大震災で被災した人に対するケアにも対応すべく、経済団体や労働団体、職能団体、支援団体、関係する学会など幅広い団体からの協賛を得て、当事者が支援を求めやすい環境を作るための「生きる支援」として展開することになった。
開催予定の行事として、自殺により家族を失った人(自死遺族)に寄り添う「ピア・サポーター」としての心得の基本を学びあう研修会や、看護士や保健師など医療従事者のための自殺予防セミナーが実施され、また専門の産業カウンセラーによる「働く人の電話相談室」が今月8日から10日まで開設される。
内閣府のホームページ上では「あなたも出来る自殺予防のための行動」として、「気づき」「傾聴」「つなぎ」「見守り」の4つの行動を挙げている。「気づき」は家族や仲間の変化に気付いて声を掛けること。「傾聴」は本人の気持ちを尊重し、耳を傾けること。「つなぎ」は早めに専門家に相談すること。「見守り」は温かく寄り添いながらじっくり見守ること。こうした行動は予防週間でなくとも、常日頃から大切な人のために気に掛けておきたい。
 内閣府では自殺総合対策の推進に平成23年度当初予算に2億1千万円の予算を計上している。

<タックスワンポイント>

親族間の窃盗被害  雑損控除は適用できる!?

 「子は宝」—-、とはよく言ったもので、幼い子どもの頑是ない無邪気な姿は世知辛い社会を明るくしてくれる。
 しかし、現実には放蕩息子に苦労させられる親も少なくない。このような息子はなぜか決まったように、定職もなく家にも寄りつかず、お金の無心するときだけ帰って来て……時には勝手に親のサイフから金を持っていく。親にとっては、ほとんど「盗み」に入られているのと変わらない。
 税務上は盗難の被害にあった場合、一般的には雑損控除として所得控除を受けることができる。控除できる金額は、「損失額−総所得金額等×10%」、あるいは「損失額のうち災害関連支出の金額−5万円」のいずれか多い金額だ。
 しかし、放蕩息子が親や家族からお金を盗んだ場合は雑損控除の適用が難しいケースが多い。親族から金品を盗む行為は「親族相盗例」とされ、罪に問われないことが少なくないからだ。
 親族相盗例とは、直系血族、配偶者および同居の親族の間で窃盗、詐欺、恐喝、横領といった罪を犯した場合は、無罪もしくは刑が免除される特例措置だ。親族相盗例の結果、窃盗ではなく「贈与」扱いになることも多い。ただし、当局よると、「雑損控除の適用で重要なことは『盗難の事実』。親族だから適用できないという理由ではない」としている。そのため、警察が盗難にかかる被害届を受理したといった事実確認が取れれば、雑損控除が適用される可能性もゼロではないようだ。

税理士法人早川・平会計