<タックスニュース>

臨時増税規模  政府と民主党に認識のズレ

 東日本大震災の復興財源などを確保する臨時増税の規模を巡り、政府と民主党内の足並みの乱れが表面化した。政府・与党案では、政府が保有する日本たばこ産業(JT)株の完全売却などを通じて税外収入を当初案より2兆円上積みする方針だが、あくまで目標値とする政府側・党税制調査会と、臨時増税の規模圧縮をアピールしたい党政策調査会との間で認識のズレが発生。税外収入の確保は難航必至で、あいまいさを残した政府・与党案が、今後の与野党協議で批判を招くのは確実だ。
 復興増税を巡って政府・与党は、所得税、法人税、たばこ税、個人所得税を対象に、増税期間は10年を基本とすることで一致。法人・たばこ増税の開始時期は来年度としたが、所得・住民は政府の当初案より1~2年先送りし、党内の増税慎重論に配慮した。
 一方、増税以外による財源調達については、JT株のほか▽エネルギー特別会計の保有株売却▽財政投融資特別会計の剰余金活用――などで当初の政府案の5兆円から7兆円に上積みを目指す方針を示した。
前原誠司政調会長は増税規模が当初の11・2兆円から9・2兆円に圧縮したと「成果」を強調したが、政府や党税調からは、「5兆円の確保すら難しい」との指摘が相次いだ。
 結局、当面の増税規模を11・2兆円として法案を提出し、上積みが実現した段階で9・2兆円に圧縮することで混乱の収束を図ったが、玉虫色の中身は野党側にとっては格好の標的。財務省などからは「自分の格好つけしか考えない前原氏に振り回された」との恨み節が聞こえてくる。

<タックスワンポイント>

長期保有資産買い換え特例が12月末で終了?  実務家の間に懸念の声

 ねじれ国会や震災の影響で成立が大幅にずれ込んだ平成23年度税制改正では、民主党の政権公約の一つである租税特別措置の縮減・廃止が行われた。そして、廃止の対象とならなかった租特でも、適用期限の延長が行われず、近い将来に「日切れ」が見通されるものがある。実務家の間に懸念の声が上がっているのが、「長期保有資産買い換え特例」だ。
 この特例は、事業に用いている土地や建物などを譲渡した後、一定の期間内に、要件を満たす資産を取得して事業に用いた場合に、譲渡益の一部について課税を将来に繰り延べることができる制度だ。平成23年12月31日までに資産を譲渡した場合に適用できることになっており、今年度の税制改正では期限延長の対象となっていない。つまり、24年度の税制改正で延長などの措置がなされない限り、日切れにより使えなくなるということだ。
 専門家によると、この特例は農地を売ってアパートなどの賃貸物件を購入する場合や、収益性の低い事業に使用する不動産を買い換えて事業転換する場合などに頻繁に利用されているという。そして改正による同特例の扱いについて、「政府の租特廃止・縮減は、政策的に意味のないものや、利用頻度が少ないものを対象としているはず。使い勝手がよく、実際に多くの人が利用し経済の活性化に役立っている制度が延長されない理由がわからない」と疑問を呈す。
 また経団連でもこの特例の延長を求めている。9月14日に発表した「平成24年度税制改正に関する提言」では、「本特例は、企業の事業再編等に係るコストを低減させ、経済活力の向上に寄与しており、また、広範な業種に活用され、地域の企業立地にも貢献していることから、適用期限を延長すべきである」としている。

税理士法人早川・平会計