<タックスニュース>

復興増税の償還期間25年  事実上、恒久増税化

 民主、自民、公明の3党は、東日本大震災の復興財源を賄う復興債の償還期間を25年に延長することで合意した。単年度の負担軽減を主張する自民党の意向を配慮し、関連法案の早期成立を急いだ民主党の政治判断だが、これで当初案で10年だった復興増税は事実上、「恒久増税」化。「次世代に負担を先送りしない」としてきた政府・与党の方針と大きく食い違い、政府は責任説明を求められる。
 民主党が償還期間で大幅に譲歩したのは、参院で多数を失った「ねじれ国会」の中で野党の賛成がなければ、11年度第3次補正予算案に盛り込んだ復興事業の財源を裏付ける関連法案の成立が見通せなくなるからだ。また、復興増税への痛税感を和らげれば、今後本格化する税と社会保障の一体改革に伴う消費税増税に理解を得られやすいとの思惑もある。
 ただ、単年度の負担を減らしても、納税者のトータルの負担額は変わらない。25年は、今後生まれる子どもすら増税対象になり得るもので、「現役世代で負担する」との政府方針は完全に崩れた。政治的妥協の産物の決定に、市場からは「今後の大型増税の実現性も危うい」と政府の財政規律を疑問視する声も出始めている。
 一方、復興費用は、今後福島第一原発事故に伴う除染費用などが拡大する可能性もある。民主党は、今後政府保有の日本郵政株の売却などで財源を捻出することで、将来の増税を回避する考えを示していたが、郵政の将来像などを巡って与野党の意向は割れている。財源確保の実現性は不透明で、国民の税負担が今後増える懸念はぬぐえない。

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<タックスワンポイント>

国税庁が評価額の「調整率」を発表  震災による地価下落

 相続税や贈与税の税額を算出する際の土地の評価は毎年1月1日時点の相続税路線価を基準とする。しかし、今年は3月11日の東日本大震災を受けて、被災地の中には地価が著しく下落した箇所もあることから、国税庁は震災特例法の規定に基づき、こうした実態を税務上の評価に反映させるための「調整率」を取りまとめた。
 これにより、震災日以後に相続税・贈与税の申告期が到来する税額の評価では、平成23年1月1日時点での路線価に調整率を乗じた額で算出することになる。例えば、路線価が10万円で調整率が0・75の場合、「10万円×0・75=7万5千円」となる。なお、調整率は評価額算出の一定の目安として定められたもので、法的な拘束力を有するものではない。当局は、「実態に合わせて個別に対応する」としている。
 調整率が設定された地域は、福島、宮城、岩手、青森など東北地方の太平洋側と、茨城、栃木、千葉3県の全域に加えて、埼玉、新潟、長野の一部、合計約6万5千キロ平方メートルで日本の国土の17%となる。これは阪神淡路大震災の時に調整率が適用された面積の32倍という規模だ。
 低い調整率を設定された地域をみていくと、津波の被害が大きかった岩手の大槌町、大船渡市、釜石市、宮古市、陸前高田市などで0・3。宮城では女川町が0・2、南三陸町が0・25、仙台市宮城野区、同若林区、石巻市、気仙沼市、名取市などで0・3、福島はいわき市、新地町、相馬市、南相馬市で0・3、福島原発周辺は0となっている。千葉の浦安市が0・6、埼玉の久喜市で0・7となっているが、これは地震に伴う液状化現象による被害を踏まえたもの。

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