<タックスニュース>

消費税”複数税率”議論再燃  給付付き税額控除に「バラマキ」の批判から

 税と社会保障の一体改革で、消費増税で低所得者ほど負担が大きくなる「逆進性」対策として、食品などの税率を低くする「複数税率」の是非が再び論点となりそうだ。政府・与党は、大幅な税収減を招くことなどから、一体改革素案では導入をいったん見送る方針を示したが、代わりに検討する給付付き税額控除については、野党内には「バラマキ」との異論が根強いためだ。
 欧州諸国では、日本の消費税にあたる付加価値税について、複数税率を導入するケースが一般的。ドイツは通常の品目にかかる標準税率19%に対し、水道料金や食品にかかる税率は原則7%。標準税率20%の英国は、食品や医薬品、新聞などは税率ゼロだ。
 ただ複数税率には、▽食料品を対象とすると年間3.1兆円の税収減を招く、▽対象商品の選定を巡って「利権」が生じやすい――などの指摘もある。民主党税制調査会では海江田万里氏などが複数税率の導入を主張したが、藤井裕久会長らはこれを押し切り、代わりに共通番号制度の導入を前提に給付付き税額控除で逆進性問題に対応する方針とした。しかし、番号制を導入しても納税者の一体的な所得把握には限界があるため、自民党内では「複数税率も選択肢の1つ」(野田毅税調会長)との声が出ている。実は財務省内でも給付付き税額控除は「恒久的なバラマキになる」との懸念が根強い。
 一方、民主党内でも、パート従業員への厚生年金の適用拡大を巡り、大手スーパーなどの猛反発を受けて、結論先送りの動きが急浮上している。「族議員化」が顕著な党内で、同様に業界から圧力を受ければ、複数税率が息を吹き返す可能性も十分ありそうだ。

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<タックスワンポイント>

23年度確定申告より適用 住宅税制の改正点 補助金は取得費から控除

 平成23年度の税制改正で特定増改築などを含む「住宅借入金等特別控除」「住宅耐震改修特別控除」「住宅特定改修特別税額控除」について控除額の計算方法が変更された。
 平成23年6月30日以降に住宅の新築や購入、増改築など(以下、「住宅の取得」)の契約を締結し、その住宅の取得に対して補助金の交付を受ける場合は、取得費から補助金の額を控除する。そもそも住宅借入金等特別控除の控除額は、住宅ローンの年末残高の合計額を基に居住の用に供した年分の計算方法によって算出する。しかし、住宅の取得費が住宅ローンの年末残高の合計額より少ないときは、その取得費を基に計算する。この場合の取得費は補助金の額を差し引いた額になるということが今回の主な改正点だ。増改築や断熱改修工事、耐震改修工事などを行い、特別控除を受けるときは、その工事に要した費用について一定の条件があるが、この場合の費用も補助金を控除した額で判定・計算が行われる。
 ここでいう補助金とは国や地方公共団体などから交付された住宅の取得に関わるもので、金銭で交付されるもののほか、住宅エコポイントなども含まれる。ただし、住宅借入金の利子の支払いに充てるために交付された利子補給金は該当しない。なお、住宅の取得に対して補助金を受ける場合、または住宅取得資金の贈与の特例を受けた場合はそれらの金額を証明する書類を確定申告の際に添付する。
 その他の変更点としては、控除の対象となる増改築等に係る省エネ要件のひとつとして「改修後の住宅全体の省エネ性能が改修前から一段階相当以上上がると認められる工事内容であること」が挙げられていたが、平成21年4月1日から平成22年12月31日までこの要件が緩和されており、この緩和措置が引き続き平成24年12月31日まで延長された。「住宅耐震改修特別控除」では、住宅耐震改修の適用対象となる区域の要件が廃止された。「住宅特定改修特別税額控除」については、高齢者等居住改修工事、いわゆるバリアフリー改修工事に係る税額控除の上限額が20万円から15万円に変更された。

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