<タックスニュース>

実態は”トリプル増税法案”!  消費税増税法案を国会提出

 税制改正法が成立した3月30日、政府は「税・社会保障一体改革」に伴う、いわゆる「消費増税法案」を国会に提出した。最高税率の引き上げによる「所得税増税」と、税率の見直しや課税対象者の拡大による「相続税増税」をも盛り込んだもので、その実態は”トリプル増税法案”にほかならない。
 政府が”税制抜本改革2法案”と位置付ける「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案」と「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案」がそれで、「一体改革」の関連法案とされる「年金機能強化法案」(公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案)と、「子ども・子育て新システム関連3法案」(子ども・子育て支援法案、総合こども園法案、子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案)も同日、閣議決定し、この日のうちに提出された。
 消費税率の引き上げについては、現行5%の税率を平成26年4月に8%、27年10月に10%へ引き上げることを柱とする内容。所得税は最高税率を引き上げ、課税所得5千万円超については45%とし、27年分以後の所得税から適用を開始する。相続税については基礎控除の部分を現行の5千万円から3千万円へ引き下げ、法定相続人1人当りの控除も1千万円から6百万円に縮小する。最高税率は55%へ引き上げる。その一方で、相続時精算課税制度を利用できる贈与者の年齢制限を見直し、現行規定の65歳から60歳に引き下げることで対象者を拡大し、「相続から贈与へ」の流れと「次世代への可処分所得の移行」を図りたい考えだ。相続・贈与ともに、27年1月1日以後に取得する財産について適用される。
 「年金機能強化法案」は、基礎年金の国庫負担割合を2分の1に恒久化することを主な内容とするもの。ほかに、低所得者への年金額の加算や、短時間労働者への社会保険の適用拡大なども盛り込まれている。政府は当初、この法案の名称を「消費税法改正案」としていたが、与党が修正案を提示。名称だけでも「社会保障改革」の印象を強めいという思惑が働いた格好だが、実態に即した名称としては”トリプル増税法案”にしたほうがぴったりとくる内容だといえるだろう。


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<タックスワンポイント>

研究開発費減税の”恩恵”3700億円  資本金10億円以上の企業が9割占める

 国税庁がこのほど発表した2010年度分の「会社標本調査」によると、研究開発費減税の”恩恵”を受けている企業のうち約9割が資本金10億円以上の「大企業」で、その総額は3700億円超だったという。
 研究開発費減税は、製品の製造や技術の改良、考案、発明にかかわる試験研究のために企業が支出する「試験研究費」のうち、一定の割合を法人税額から差し引ける制度。10年度分の調査では、減税総額は3726億円で、89・6%にあたる3340億円が資本金10億円以上の大企業(連結納税グループ企業を含む) の減税額だった。その一方で、資本金10億円未満の企業の減税額は386億円にすぎず、研究・開発分野での中小企業の不公平感が拭えない減税制度となっていることが分かる。09年度は減税総額が2565億円で、大企業分は87・5%となる2244億円だった。
 この調査では「海外子会社配当益金不算入」の額もはじめて公表された。この制度は外国子会社から受ける配当などの額の95%を非課税とするもので、09年度に導入された。益金不算入とされる総額は3兆9417億円に上り、そのうち96・0%に当たる3兆7839億円が資本金10億円以上の企業規模(連結納税グループ企業を含む)の適用額で、仮にこれらの額すべてに30%の法人税(国税分)を課税すれば、1兆円を超える税収増になっていたものと試算できる。

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