<タックスニュース>

年金機構の徴収部門を国税庁に統合  民主党WT 歳入庁設置で中間報告

 税と社会保障の徴収を一元化する歳入庁の設置について、民主党のワーキングチーム(WT)は11日、中間報告をとりまとめた。日本年金機構(旧社会保険庁)の保険料徴収部門を分割し、国税庁に統合するのが柱。将来的には介護保険、雇用保険の徴収を併せて行うことも検討課題に挙げている。
 設置時期は税と社会保障の個人情報を一つにまとめる「マイナンバー制」が導入される15年1月が軸となる。これまで地方自治体が行っていた地方税の滞納分の徴収も、歳入庁が行うことを提案した。
 また、所管官庁は独立組織、財務省の外局、内務省の外局の3案を提示。職員は国税の人材がベースとなる。業務量増加に伴う増員を予定しているが、年金機構の職員を移すことは想定していない。
 日本年金機構は年金の加入手続きや給付・相談などの自治体業務を委託する民間組織に改編する。
歳入庁の設置は、09年衆院選の民主党マニフェストに盛り込まれ、消費税増税関連法案にも「税と社会保険料を徴収する体制の構築について本格的な作業を進める」と明記された。政府と民主党WTが、消費増税法案の国会審議入りまでに制度設計のたたき台を取りまとめることになっているが、政府案はメリットとデメリットの両論併記にとどめる見通しだ。

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<タックスワンポイント>

“トリプル増税”その前に…  介護・健保の保険料アップ、年金支給額の減額――

 所得税と相続税の増税をも盛り込んだ「消費増税法案」、いわゆる”トリプル増税法案”が国会に提出された。それに先行して、この4月からは「隠れた税金」「第2の税金」などといわれる社会保障費を中心に、すべての所得階層・年齢層の納税者にとって負担増となる「改定」がすでに実施されている。
 40歳から負担が義務付けられている介護保険料は、40~64歳で月額約180円、65歳以上で約900円アップしている。年間では約2160円~1万800円の負担増となる計算だ。
 中小企業の社員とその家族が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)の保険料率(労使折半)も、4月から全国平均で9.50%(3月までは9.34%)に上がっている。年収400万円の標準世帯(夫婦と子供2人)をモデルケースとすると、月額で約750円、年間では約9千円の負担が増える。自治体によっては保険料率が10%を超える場合もある。高齢者医療費が増え続ける一方で、保険料のベースとなる加入者の給与が減少している事情は、大企業の組合健保や国民健康保険も同様で、今後はそれらの保険料が上がることも避けられそうにない。
 さらに6月からは、住民税の「年少扶養控除」(33万円)が廃止される。モデルケースの家庭の場合、子どもが2人とも対象になれば、単純計算で月額5500円の住民税増税が直撃することになる。同時に、特定扶養親族(16歳以上23歳未満)のうち、年齢が16歳以上19歳未満のひとに対する扶養控除の上乗せ部分(12万円)も廃止となり、扶養控除額は33万円に引き下げられる。また、高齢者も「物価スライド」に連動した年金の”是正”に伴い、支給額が月額で600円減らされている。
 光熱費も上がっている。電力10社と都市ガス4社では4月から値上げを実施。電気・ガスの原燃料となる液化天然ガスなどの輸入価格の上昇が主な要因だが、電気料金に関しては、太陽光発電の普及を促す「太陽光発電促進付加金」が4月から引き上げられたことも大きな原因のひとつだ。原油やトウモロコシの価格も高騰。ガソリンはすでにレギュラー価格が1㍑当り150円を超えている。燃料や飼料の高騰は、そのまま野菜・食肉などの生鮮食料品や、加工食品の価格を引き上げることにつながる。
 消費増税が実現する以前に、すでにこの4月から、こうした負担増が着々と実施されている事実を、あらためて認識しておきたいものだ。


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