<タックスニュース>

税率アップ優先で低所得者対策は先送り どうなる「給付付き税額控除」と「軽減税率」

 消費増税関連法案が26日に衆議院を通過したことで、これまで足りない分を国債などの借金で補ってきた社会保障の財源を、税でまかなっていくことに一定の道筋がついた。一方、法案採決のために民主・自民・公明の三党合意を優先したことで税率引き上げが優先され、各党間で意見の隔たりの大きい低所得者対策や、所得・相続税の最高税率引き上げなどは先送りされた形だ。
 最大の焦点だった低所得者対策は、低所得者に現金を給付する「簡素な給付措置」の実施を税率8%になる14年4月から実施する。一方、15年10月の10%への引き上げ時に導入する本格的な対策は、政府案の減税と現金給付を組み合わせた「給付付き税額控除」と自民・公明両党が主張した食料品などの生活必需品の税率を下げる「軽減税率」のいずれかを検討することになった。
 給付付き税額控除は所得を正確に把握する必要があり、15年の共通番号制度の本格稼働が前提となるが、自民党は「株の配当など、金融資産は共通番号制度で把握できない」と反発。これに対して軽減税率は生活必需品が対象となるため、「高所得者も対象になり、低所得者対策にならない」と民主党が導入に反対している。
簡素な給付措置は8%への引き上げ時から実施することで一致しているものの、具体的な対象範囲や規模は決まっていない。規模や対象を消費税導入時や5%への引き上げ時と同程度にしたい政府・民主党、自民党と拡大を求める公明党とで隔たりがあるだけでなく、民主党内にも増税反対派を中心に対象や規模の拡大を求める声が根強く、調整は難しそうだ。
 一方、低所得者ほど消費増税の負担が重くなる「逆進性」への不満を緩和するため、政府案には所得税と相続税の最高税率を引き上げることが盛り込まれたが、三党の足並みがそろわず、年末の13年度改正に持ち込まれることになった。
 政府・民主党案では、現在最高税率40%の所得税を、課税対象の所得が「5千万円超」に45%を適用し、相続税も最高税率を現行の50%から55%に引き上げ、遺産のうちから課税対象から除外できる基礎控除を縮小する方針だった。しかし、所得税について公明党はさらなる引き上げを主張。自民党はそもそも高所得者への課税強化は「経済の活力をそぐ」として反発している。

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<タックスワンポイント>

入管法改正で在留管理制度が変わる 7月9日以降に気を付けたいポイント

 外国人に働いてもらう場合、在留管理制度についての知識をある程度持っておかなければならない。特に、外国人雇用に必要な手続きが簡素化される改正入国管理法が7月9日に施行されることによって、現場では混乱が起こることも考えられるので注意したい。
 外国人が日本を離れた後に再来日する予定の場合、出国前にあらかじめ「再入国許可」を受ける必要がある。改正入管法による新しい在留管理制度では、出国後1年以内に日本に戻るならば原則的に再入国許可が不要になる「みなし再入国許可制度」がスタートする。外国人に1年以内の短期出張をさせるケースで手続きが省略できるわけだ。ただし、海外での仕事が予定していた期間よりも長く掛かり、在留期間が1年を超える場合、在留資格は失効する。
 また、主な就労資格について、在留期間の上限が最長3年から5年に延長される。当初から3カ月以内の在留が予定されている就労資格者の事務手続きを軽減するため、新たに3カ月の在留期間も設けられる。期間が延長されたことで更新期限を忘れないよう注意が必要だ。
 新制度では「外国人登録証明書」が廃止され、偽変造防止のためのICチップが搭載された「在留カード」が外国人に配布される。外国人を採用する会社は、就労制限や資格外活動の許可の有無などがこの1枚で確認できるようになる。なお、7月9日以降も、在留カードが交付されるまでの一定の期間は、外国人登録証明書が在留カード同様に取り扱われる。
 法務省入国管理局のホームページでは、改正在留管理制度について26言語で紹介している。雇用側が確認するだけではなく、外国人を雇用している事業所や技能実習生を受け入れている事業所は、このサイトからダウンロードできる資料を外国人に配布して社内研修をしておきたい。


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