<タックスニュース>

一体改革関連8法案審議入り  低所得者対策は議論進まず

 消費増税を柱とする税と社会保障の一体改革関連8法案が参院で特別委員会が始まり、本格的な審議に入った。政府は与党内に離党者が相次ぐなど政権基盤が揺らぐ一方、3党合意を結んだ自民・公明は、民主党の掲げる最低保障年金の撤回を求めるなど攻勢を強めており、与野党の板挟みにあっている。このため、消費増税を参院で成立させるためには、与野党に譲歩することが不可欠な情勢で、三党で意見の割れている低所得者対策などの議論は深まらない公算が大きい。
 低所得者対策は、15年10月の10%への引き上げ後、政府・民主党は減税と現金給付を組み合わせた「給付付き税額控除」の導入を予定していたが、三党合意では自民、公明両党の主張を受け入れ、食料品など生活必需品の税率を下げる「軽減税率」も選択肢として検討することになった。
 14年4月の8%への引き上げ時は対所得者対策として、対象者に現金を配る「簡素な給付」を実施することで三党は合意。ただ、対象範囲などについては、主張が異なっており「対象は今後の検討課題だ」(安住淳財務相)としている。
 与党内では野党に配慮を示す政府の姿勢に反発は根強く、離党者が続出している。党内の反発を和らげる狙いもあり、野田首相は「今の制度改正にプラスして改善されるなら、議論はあってしかるべき」と述べ、「三党合意は重い」との認識を示しながらも再修正に含みを持たせている。

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<タックスワンポイント>

損金算入できる税金  源泉所得税どうする?

 会社はさまざまな税金を納めているが、税金の中には損金に算入できるものもある。税法では損金不算入となる税金を限定列挙しており、それ以外のものは損金に算入できる。
 損金不算入とされているのは、法人税、都道府県民税、市町村民税、延滞税、各種加算税、過怠税、罰金、科料、過料など。また損金算入できるのは、事業税、利子税、固定資産税、登録免許税、自動車取得税、印紙税など。
 ところで、利子や配当は源泉所得税を差し引かれた金額が受取金額となるが、この源泉所得税については、損金算入してもしなくてもよいこととされている。それでは法人にとってどちらが有利なのだろうか。これについては、「損金算入しない」方が有利と考えてよい。損金算入とした場合、法人税額から源泉所得税額を税額控除できなくなるからだ。
 例えば1万円の受取利息が発生した場合、20%(所得税15%+住民税5%)が源泉徴収されるため、所得税1500円、住民税500円が引かれて手取りは8千円となる。この源泉所得税を損金算入しないで法人税を計算すると(住民税はもともと損金不算入扱い)、税率を30%とした場合、法人税は3千円(1万円×30%)。しかし、源泉徴収によって1500円を先払いしているため、納付税額は1500円となる。
 一方、源泉所得税を損金算入する場合、収入金額1万円から源泉所得税1500円を引いた8500円に税率をかけることになり、法人税は2550円。先ほどの3千円と比べるとこちらの方が低いが、源泉徴収されている1500円と合わせると4050円の負担になる。どちらが有利かは一目瞭然。必ず損金不算入扱いとし、税額控除を受けるようにしたい。


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