<タックスニュース>

アベノミクス始動  リスクマネー供給で企業の投資を促進

 安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の事実上の第一弾となる緊急経済対策がまとまった。デフレ脱却を目指し、企業活動の活性化を通じて経済を上向かせることを狙う。海外展開や新規分野の開拓を目指す企業に、政府が政策金融機関を通じて出資するなど「リスクマネー」を供給するのが特徴の一つ。政府がリスクを取ることで、企業が前向きな投資に動き出すのかが注目される。
 経済対策に盛り込まれたのは、国際協力銀行(JBIC)が創設する「海外展開支援出資ファシリティ」(出資枠2000億円)。政府が約700億円を出資する。日本企業が海外企業をM&A(合併・買収)したり、海外投資をしたりする際に、その企業に出資することで、こうした動きを後押しするのが狙い。中堅・中小企業のほか、日本企業の海外進出を支援するファンドなども対象にする。
 円安効果も見込む。出資をテコに、企業が海外進出を強めれば、民間金融機関から企業が資金を借りて資金調達する動きも広がると見込まれる。海外企業買収にはドルなどの外貨が必要になるため、こうした資金も含め円売り・外貨買いが強まるためだ。
 また、日本政策投資銀行には1500億円規模の基金(ファンド)を設置する。政府がうち1000億円を同行に貸す。こちらは、開発したまま眠っている技術を社外の関係者とも協力しながら事業化を図ったり、異業種が連携して新分野を切り開こうとしたりする企業の後押しを目指す。劣後ローンなどで資金を出すため、企業の資本が厚くなり思い切った挑戦に踏み切りやすくなったり、他の民間金融機関も融資しやすくなったりする効果を見込む。
 政府によるリスクマネーの供給は、自民党の方針に沿ったもので、事業が失敗に終われば政府に損失が及ぶ可能性もある。ただ、融資中心だった従来から、かなり踏み込んだのは事実。デフレ脱却の一助になるかどうか、アベノミクスの真価が問われる。

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<タックスワンポイント>

課税処分に不満  不服申し立て手順を確認

 税務行政の処分に不服がある納税者を救済するための独立機関である国税不服審判所。しかし現状では、いきなり国税不服審判所に駆け込むことはできない。
 原則として、まず税務署に対して処分の不服を申し立てる「異議申し立て」が必要。処分通知の受領後2カ月以内に「異議申立書」を提出する。
 国税不服審判所に「審査請求」できるのは、異議申し立てに対する「異議決定」が出て、それでも納得がいかない場合だ。異議決定後1カ月以内に「審査請求書」を提出することにより不服を申し立てる。ただし、青色申告についての更正処分などの場合には、異議申し立ての手順を飛ばして直接国税不服審判所に審査請求できるので要チェックだ。この場合は、処分通知受領後2カ月以内に「審査請求書」を提出することになる。
 また、税務署や国税不服審判所に対して不服申し立てができる「不服の範囲」も決められている。不服申し立てができるのは、税務署から①納付税額を増加させる更正処分②申告のない場合に納付税額を決定する決定処分③更正の請求に対して行われた更正をすべき理由がない旨の通知処分④加算税の賦課決定処分⑤青色申告の承認の取消処分⑥差し押さえ等の滞納処分――などの処分を受けた場合。一方、納付税額を減少させたり還付金額を増加させたりする処分は不服申し立ての対象にならない。自己の権利または法律上の利益が侵害されないためだ。
 また、「誤って納付税額を過大に申告した場合」も不服申し立ての対象外。理由は、何ら処分を受けていないから。この場合は不服申し立てではなく、誤って申告した税額を正しい税額に是正する「更正の請求」の手続きになる。

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