<タックスニュース>

貿易収支が2年連続赤字  円安のマイナス面が表出

 財務省が発表した2012年度の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は8兆1699億円の赤字だった。赤字は2年連続で、11年度の4兆4221億円と比べて85.8%も増加し、統計が比較可能な1979年度以降で過去最大を更新した。
 欧州やアジア経済の低迷・減速で輸出が2年連続で落ち込む一方、原発停止を代替する火力発電の燃料となる液化天然ガス(LNG)の輸入高止まりが主因。これに加え、昨年11月以降の円安加速で食料品や原油などエネルギーの輸入価格全般が大きく押し上げられ、貿易赤字額が膨らんだ。貿易赤字は79年度以降で5回目。
 アベノミクスの期待を背景に急激に進んだ円安のマイナス面が出た格好で、今後は円安が輸出拡大のプラス効果をどこまで発揮するかが、貿易赤字改善に向けて大きな鍵を握る。
 12年度の貿易収支で、輸出は前年度比2.1%減の63兆9409億円で2年連続の減少。米国向け自動車輸出は伸びたが、アジア経済の減速などを背景にタンカーなど船舶や半導体など電子部品の輸出が減少した。沖縄県の尖閣諸島を巡る摩擦で関係が冷え込んだ中国向けの減少も目立ち、国別輸出では4年ぶりに米国向けが中国向けを上回った。
 一方、輸入は3.4%増の72兆1108億円で3年連続の増加。LNG輸入が14.9%増と高止まり、スマートフォンなどの通信機の輸入も31.9%増加した。地域別では、中国からの輸入が過去最大となった。
 また、同時に発表された3月の貿易収支も3624億円の赤字で、3月としては過去最大を記録した。赤字は9カ月連続で、第2次石油危機に伴う原油高の影響を受けた1979年7月から80年8月までの14カ月連続に次ぐ長さを記録した。

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<タックスワンポイント>

街頭で見本品配布  宣伝費?交際費?

 社運をかけて開発した新商品でも、実際に売れるかどうかは未知数。商品自体の品質や性能もさることながら、その「売り方」によっても大きく左右されるところだ。
 そこで多くの企業では、あの手この手で新商品の売れ行きを後押しする。商品パッケージに凝ってみたり、派手なキャンペーンを展開したりとその手法はさまざまだが、中でもごく一般的な方法として見本品の配布が考えられる。
 新商品を店頭販売する前段階で得意先や一般消費者などに見本品や試用品を贈呈し、実際に試してもらって商品の利点をアピールする方法だ。
 この場合、見本品の配布にかかった費用の税務上の取り扱いも気になるところ。「得意先」「贈呈」となると交際費にならないか心配する声もあるようだが、一般的に必要と認められる範囲内であれば、広告宣伝費扱いとして損金算入が認められる。
 ここで気をつけておきたいのが、「一般的に必要と認められる範囲内」の範囲についてだ。
 得意先や一般消費者へ配布する見本品が「広告宣伝費」として認められるためには、その見本品があくまでサンプル的なものである必要がある。
 高額な商品の現物配布や、特定の者への配布などは、広告宣伝というよりはむしろ贈答目的の行為と判断されても仕方がない。
 会社の内部の位置づけでは「販売促進目的」とされているものでも、税務署の判断で「交際費扱い」になってしまうこともあるので、得意先等への見本品の配布に際しては、価格と配布先に十分に注意を払いたい。


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