<タックスニュース>

アベノミクス第三の矢が始動  規制撤廃を進める「成長戦略」

 安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」の第三の矢である「成長戦略」が固まった。首相が5日に発表した第3弾では「民間活力の爆発」をキーワードに、民間企業が投資しやすくする環境を作るため、規制撤廃を進める考えを示した。「10年後に1人あたり国民総所得を150万円増やす」などの数値目標も掲げたものの、達成する具体的な道筋は見えず、アベノミクスへの失望感からその日の東京株式市場の日経平均株価は前日比518円安と、今年3番目の大きな下げ幅になった。安倍政権が市場の信頼を取り戻せるかが今後の焦点になりそうだ。
 安倍首相は5日の講演で、「政策を実行していくために必要なものは政治の安定だ。参院選は日本の政治を取り戻す戦いでもある」と、参院選で衆参のねじれ状態を解消していく考えを強調した。衆院で法案が通過しても、過半数を持たない参院での審議が難航するケースが多いからだ。しかし、規制改革には担当省庁などの抵抗もあり、議論を参院選後に先送りしたものも多い。
 農地取得の解禁は、農水省が「企業が撤退すれば耕作放棄地になる」と抵抗。規制改革会議は農業の規制を巡る議論を始めたばかりで、政府・与党の議論が本格化するのは7月の参院選後にずれ込む。産業界などが提案した混合診療の全面解禁が見送られ、労働契約法に「解雇自由」の原則を規定し、再就職支援金を支払えば従業員を解雇できる「解雇ルール」緩和も先送りされた。
 その中で目玉となるのは、一般用医薬品(市販薬)のインターネット販売解禁だ。市販薬約1万1400品目のうち99%超のネット販売が認められる。また、医療用医薬品から市販薬に転用して間もない鼻炎用薬、解熱鎮痛薬などリスクが高いとされる25品目は、専門家が安専門家が安全性を審査し直すなど新たなルールを検討する。
 政権には、議論が先送りになった各テーマでどれだけ成果を上げられるか、参院選後の取り組みで真価が問われることになる。

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<タックスワンポイント>

資金繰り対策で人気  欠損金の繰戻還付

 中小企業の間で、資金繰り対策としての「欠損金の繰戻還付」に改めて関心が寄せられている。
 これは、今期赤字となり欠損金が生じた場合、前期が黒字で法人税を納めていれば、今期の赤字と前期の黒字を相殺して前期に納めた法人税の還付を受けることができるというもの。黒字続きだったのに今期大きな赤字となった、という会社にとってはありがたい制度だ。
 適用要件は、①還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度まで連続して青色申告書を提出していること②欠損事業年度に青色申告により期限内に提出していること③「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を提出していること。
 法人税法80条に規定された足場の固い制度だが、税収不足対策として平成4年以降は「欠損金の繰戻還付の不適用」として租税特別措置法で封じられてきた。同11年以降は「不適用の適用除外」というややこしいスタイルで復活したものの、適用対象となるのは「設立後5年以内の中小企業」など一部の企業のみ。これではあまりにも実用性に欠けるということで、同21年にこの「不適用の適用除外」の範囲を広げ、設立5年を超える中小企業も適用できることになったという経緯がある。
 繰戻還付のメリットは何といってもすぐに税金が戻ってくること。赤字対策としては「欠損金の繰越控除」もあるが、資金繰りに窮する会社にとっては翌期以降の控除より今の現金の方が魅力的だ。
 ただし、一旦国庫に入った税金を戻す制度だけに、適用に際しては税務署の入念なチェックが行われる。正しく申告していれば何も問題ないが、それなりの心構えはしておく必要がある。


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