<タックスニュース>

OECD 多国籍企業の課税逃れ防止に新ルール  G20で15項目の行動計画を報告

 7月19~20日にモスクワで開かれた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に、経済協力開発機構(OECD)が多国籍企業による課税逃れ防止のための新たなルール作りに関する15項目の行動計画を報告した。行動計画をもとに、OECDが1~2年半かけて協議して勧告を出し、各国は勧告に基づき関連法や租税条約を改正する。
 米アップルやスターバックスなど多国籍企業がタックスヘイブン(租税回避地)などの法人税率の低い国を経由する取引で税金を低く抑えていることに、先進各国は危機感を強めている。6月に英国で開かれた主要8カ国首脳会議(G8サミット)でも課税逃れ防止が議題に上り、国際ルール作りを推進することで合意した。
 行動計画は、インターネットを使って国際取引する電子商取引課税、特許権やブランド権を税率の低い国にある別会社に安く売却する移転価格税制、外国子会社合算税制の強化、租税条約乱用の防止など15項目。
 例えば電子商取引では、税率の低い国に本社を置く企業が、他国の顧客に対しインターネットを通じて音楽を配信した場合、配信先の国に支店やサーバーがなければその国は配信元の企業に課税できない。これを消費の面に注目して、配信先の国で課税することができるかを検討する。
 また、移転価格税制では、特許やブランド権などの無形資産を税率の低い国の子会社に安く移転することで、特許使用料などの利益を低税率の国に集める手法に対処する。譲渡額が不当に安くないかを判断するため、類似取引での売却額と比較するといった手法を検討する。
 OECD租税委員会に項目ごとに作業部会を設けて議論し、最終的にOECDが勧告を出す。G20メンバーでOECD非加盟の中国、インド、ブラジルなど8カ国にも議論に加わるよう呼び掛けている。経済規模が大きな新興国も議論に引き込むことで、実効性のあるルール作りを行う狙いだ。

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<タックスワンポイント>

経費になる税金  損金算入時期に注意

 会社が納める税金は法人税だけではない。業種や取引の内容によって実にさまざまな種類の税金を納めており、実に多額の「税金」という名の経費が発生している。
 ところで、会社が納めるこうした税金の多くは、法人税の計算上、損金に算入することができる。税額を計算するのに税金を控除するというのも妙な話だが、利益が出ている会社にとって損金算入できる経費が増えるのはありがたい話。引けるものはどんどん引いて税負担を軽減したい。
 ただし、損金に算入できる時期は税金の種類によって異なるので注意が必要だ。
 例えば事業税や事業所税、酒税などの申告納税方式の税金は、申告書を提出した事業年度の損金に算入する。ただし申告期限未到来の事業税等を未払金に計上した場合には、その損金経理をした事業年度の損金に算入することになる。
 また不動産取得税や固定資産税、自動車税といった賦課課税方式の税金については、その賦課決定のあった事業年度の損金に算入する。
 ただし納期の開始日の事業年度または実際に納付した事業年度において損金経理をした場合には、その損金経理をした事業年度の損金となる。
 利子税や地方税の納期限の延長に係る延滞金については、納付した事業年度の損金となる。ただし、未納税額を損金経理により未払金に計上したときは、その損金経理をした事業年度の損金となる。
 このほかゴルフ場利用税や軽油引取税などの特別徴収方式の税金については、納入申告書を提出した事業年度の損金となる。
 法人税や法人住民税、加算税等はこうした損金経理の対象外だが、それ以外の会社が納める税金の多くは損金算入が可能。まずは損金算入時期をしっかり確認して、ミスのないよう税負担軽減に努めたい。

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