<タックスニュース>

政府税調 法人実効税率引き下げ審議へ  海外発のネット配信にも課税検討

 中長期的な税制のあり方を議論する政府税制調査会(会長・中里実東大教授)は10月8日、第3回会合を開いた。政府が来年4月からの消費税率引き上げを正式に決定してからの初めての会合で、安倍晋三首相が意欲を示す法人税の実効税率引き下げについて、政府税調でも今後は中長期的な視点から議論していくことを確認した。このほか、海外からインターネットで電子書籍や音楽などを日本向けに配信するサービスへの消費税課税についても議論していく。
 中里会長は「本調査会でも法人課税を含めてあるべき税制のあり方について、審議を行っていく」とあいさつ。会議では特別委員の新浪剛史ローソン代表取締役CEOから「法人税を下げることは大変重要だが、実効税率を下げるだけでは必要十分条件ではなく、規制改革や構造改革を合わせ技でやらないと本当の効果が上がらない」との意見が出た。中里会長は会合後の記者会見で「あくまで中長期的な租税体系全体で議論するので、目の前の税率に着目した議論にはなりにくい」と述べ、具体的な税率などは与党税制調査会で検討していくとの認識を示した。
 政府税調では今後、グローバル企業が税率の低い国の制度を利用して納税を逃れる「租税回避」問題と、共通番号(マイナンバー)の税分野での活用という2つのテーマについて、それぞれ小グループを作り協議する。海外にサーバーを置き、ネットで電子書籍などを日本に配信する場合、現行法上は「国外取引」として消費税は課税されない。消費税が5%から8%に引き上げられ、消費税を納める国内のネット事業者からは税制上の格差がさらに広がることに対して懸念の声が出ており、国外のネット事業者への課税についても、租税回避問題を扱うグループで議論する。


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<タックスワンポイント>

増資で信用度アップ  土地現物出資の注意点

 事業拡大、資金調達、株主構成の見直しなど増資の目的はさまざま。最低資本金の規制が撤廃され、「1円起業」が可能になった現在でも、会社の信用度を上げるためにあえて資本金を増やすケースは少なくない。
 ところで近年では、増資をするにあたって「現物出資」という方法を選択するケースが増加してきた。かつては出資した現物の評価について必ず裁判所が選任した検査役による検査を受けなければならなかったが、平成15年の商法改正によって、弁護士(法人)、公認会計士(監査法人)、税理士(法人)からの証明があれば検査を受ける必要がなくなったためだ(出資した資産が土地である場合は不動産鑑定士の鑑定が必要)。出資した現物の価額が500万円以下ならば、取締役の調査・証明だけでよいこととなったのも現物出資が増えた理由のひとつである。現物出資の対象とするモノは、一般に有価証券や土地などが多いが、資産の取得価額が会社への譲渡価額よりも高ければ、譲渡した側で譲渡所得を計上する必要があ
る。
 その際、注意しなければならないのが、現物出資したものが借金の担保に入っている場合。例えば、2千万円の借金の担保となっている時価5千万円の土地を、社長が会社に現物出資するケース。2千万円の借金ごと会社が引き受けた場合、株式は借金の2千万円を差し引いて3千万円分を発行することになるが、だからといって譲渡所得の計算上、収入金額を3千万円としてしまうのは間違いだ。社長には2千万円の債務消滅という経済的利益が発生しているため、譲渡収入金額は5千万円ということになる。

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