<タックスニュース>

製造ラインを休止  機械の減価償却は――

 景気が回復してきたといわれているが、長引く不況で受注が激減している製造業などは今もなお製造機械の運転を一部休止して調整をはかっているという。このように休止中の機械を抱えている場合に気になるのが、その稼動休止中の資産に関する減価償却の取り扱い。
 法人や個人事業者が減価償却資産を取得した場合、いったん資産に計上して、事業用として使用を開始した後、一定のルールに従って減価償却をしていくことになる。
 あくまで「業務用として使用していること」や「時の経過によって価値が減少していく資産であること」が前提となるため、実際には事業で使用していない資産や、時間が経っても資産価値が減少しないような資産については、減価償却の対象にはならない。このため稼動休止中の製造用機械についても減価償却の対象外となるのではと思いがちだが、これは間違い。
 現時点で「事業用」として使用していない資産であっても、それがあくまで一時的な稼動休止であり、必要とあればいつでも稼動できるよう保守点検などのメンテナンスがしっかり行われているものであれば、減価償却資産として一定のルールに基づいて償却していくことができる。
 さらに、相当期間にわたり休止した場合のその休止期間における稼動休止資産の償却費は、製造原価に算入しないこともできる。
 ちなみに、工場移転などにともない移設中の製造機械等については、移設期間が通常要する期間と認められる限り、減価償却を継続することができることされている。

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<タックスワンポイント>

産業競争力強化法施行  首相「成長戦略は本年が正念場」

 アベノミクス「三本の矢」の第3の矢を推進する産業競争力強化法が20日施行され、成長戦略実行に向けた動きがスタートした。施行初日には、成長戦略の工程表となる「実行計画」と、6月に予定される成長戦略改定の基本姿勢を示す「検討方針」が産業競争力会議で決定。安倍晋三首相が「好循環実現国会」と位置づける通常国会(1月24日召集)には約30本の関連法案が提出され、議論が本格化する。
 安倍首相は産業競争力会議の席上、「成長戦略は本年が正念場だ。好循環実現国会でも、具体化の進展を世界に示していきたい。内閣をあげて、その実行に着手していく」と決意表明。当面2年間に実施する施策の道筋を示した「実行計画」では、14年度税制改正大綱に盛り込まれた中小企業投資促進税制や電力小売り自由化などの法案を今通常国会に提出することや、地域限定で規制緩和や税制優遇を行う「国家戦略特区」の第1弾を、3月をめどに指定することなど、年度内の目標も盛り込んだ。
 成長戦略改定の方向を示す「検討方針」では、新たな成長産業として、医療・介護などの「ヘルスケア産業」と農業の二つを明記した。医療分野では、複数の医療法人や社会福祉法人の経営を一体的に統括する「非営利ホールディングカンパニー型法人制度(仮称)」を創設し、一体的な経営によって経営を効率化したり患者のニーズに合わせたり、サービスを多様化することで新たな雇用を創出することを目指す。
 農業分野では、生産者が主体となって生産から加工・販売までを担う「6次産業化」を促進するほか、農業委員会や農協のあり方を見直して農業への新規参入促進を狙う方針。
 21日の閣議では、安倍首相が検討方針に沿った政策の実現を目指すよう各閣僚に指示。甘利明経済再生担当相は「過去の成長戦略の大きな違いは、出来上がったところがゴールかスタートかの違いだ。各大臣に覚悟を決めて省内、省外調整をしてもらう」と述べ、これからが正念場との姿勢だ。

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