<タックスニュース>

公明党  軽減税率調査で訪韓

 年末にまとめる2015年度税制改正大綱をにらみ、公明党の動きが活発化している。最大の焦点は生活必需品の消費税率を低く抑える軽減税率の扱いだ。10月16日からは生鮮食品など一部を非課税としている韓国に視察団を派遣。軽減税率の導入に慎重な自民党との妥協点を探るべく、対象品目について新たな案も検討しており、年末までにどこまで具体化するか注視される。
 韓国視察には同党の斉藤鉄夫税制調査会長ら3人を派遣する。韓国は生鮮食品などの付加価値税(日本の消費税に相当)を非課税としており、視察では国税庁で制度概要を聴取するほか、小売店などを訪れ、複数税率に現場がどう対応しているかも確認する。
 自公両党は6月、軽減税率の対象品目について「すべての飲食料品」から「精米のみ」までの8案を例示。公明党は従来、「酒、外食を除いた飲食料品」を対象とするよう主張していたが、税率1%の軽減で4900億円の税収減となるため、消費増税によって社会保障費を確保したい自民党から「減収幅が大きすぎる」との批判が出ていた。
 公明党は視察後、従来の案より対象品目を絞り込む形で、(1)生鮮食品と穀類(米、麺類、パン)、一部加工品(2)酒、外食、総菜などを除く(3)酒のみを除くが税率の軽減幅は抑える―の3案を修正案として自民党に提示する方針。いずれも公明党の当初案より減収幅は抑えられ、消費税率8%段階で低所得者対策として実施している臨時福祉給付金制度などの予算規模(約5千億円)と同規模で済むとして、自民党を説得したい考えだ。ただ、自民党内や経済界には軽減税率の導入そのものに慎重な声もあり、公明党の修正案がどう扱われるかは未知数。対象品目の線引き以外にも、区分経理のあり方など課題は多く、年末までに協議が整うかは見通せていない。

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<タックスワンポイント>

必要経費の範囲  ロータリークラブの会費

 事業所得の計算上「必要経費」とは、業務を遂行する上で直接的に必要な経費とされている。業務と関連性があり収入を得るために必要な支出でなければならない。
 昨年、必要経費について画期的な最高裁判決が下された。弁護士業の必要経費に関する裁判で、原告が主張した経費のうち、日弁連の役員になるための立候補費用を含めた一部が必要経費と認められた。この判決は、業務との「直接的な関連性」よりも「必要性」を支持したものとされている。
 だが、業務での必要性については個々の事情によって見解は異なり判断に迷うことは少なくない。例えば、個人的に所属する団体の会費も結果的に収入を得るための支出に繋がると考える人もいるだろう。最新の国税不服審判所の裁決事例では「ロータリークラブの会費は事業所得の金額の計算上必要経費の額に算入することはできない」と判断が出された。
 この裁決では、司法書士業を営む請求人が支出したロータリークラブの入会金や会費は、会員として行う活動を見ても業務と直接関係するものではなく、業務遂行上必要な経費とはならないと審判所が判断した。請求人は必ずしも業務との直接性は不問であるはずとして主張したが、ロータリークラブなどの社会奉仕を目的とした個人的な活動は、司法書士業務に必要性がないとされた。

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