<タックスニュース>

法人実効税率3.29%引き下げ  赤字企業 2年で1600万円の増税に

 2015年度与党税制改正大綱で法人税改革の具体策が決定された。企業の所得にかかる法人実効税率(標準税率34.62%、東京都35.64%)を15年度に2.51%、16年度までで計3.29%引き下げる一方、赤字法人にも課税する法人事業税(地方税)の「外形標準課税」の拡充などで代替財源を確保することが柱だ。財務省の試算では、外形標準課税の拡充で黒字企業は平均700万円の減税の恩恵を受ける一方、赤字企業は平均1600万円の増税となる見通しで、企業に赤字体質からの脱却を促す改革の意図が鮮明になった。
 外形標準課税は、資本金1億円超の企業を対象に従業員への給与総額などに基づき赤字法人にも課税するもので、15、16年度で従来の2倍に拡充する。一方、法人事業税のうち所得にかかる税率(所得割)は引き下げる。
 財務省は今回大綱で決定された法人事業税の改革について、企業の規模別の影響を試算した。
 資本金1億円超~10億円以下の中堅企業1万7410社のうち、赤字の4818社は平均300万円の増税となる一方、黒字の1万2592社は平均200万円の減税で、全体では平均100万円の減税となる。中堅企業は、16年度まで2年限定で一定の条件を満たせば増税額が2分の1になる経過措置が導入されるため、負担はさらに軽減される見通しだ。
 5868社ある資本金10億円超の大企業では、赤字企業は平均5500万円の増税、黒字企業は平均1900万円の減税で、全体では100万円の増税となる。
 いずれのケースも黒字企業が減税となるのは、外形標準課税の納税額の増加以上に、所得割の減税効果が大きいためだ。
 資本金1億円以下の中小企業には外形標準課税は適用されないため、法人事業税改革による負担の増減はない。

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<タックスワンポイント>

美術品で新基準  100万円以下は「減価償却資産」

 国税庁は12月25日、美術品が減価償却資産にあたるかどうかの基準を示した法令解釈通達の改正を公表した。これまで1点20万円(絵画は号あたり2万円)未満の美術品は減価償却資産として取り扱うとしてきたが、基準金額を大幅に引き上げて、100万円未満の美術品を減価償却資産として扱うとする新しい判断基準を定めた。昨年10月に改正案を発表してパブリックコメントを受け付けていたもの。新基準は平成27年1月から適用している。
 確定版では26年以前から保有している美術品についての新基準適用の部分に変更があった。10月の改正案では「平成27年1月1日以後に開始する事業年度において法人の有する美術品等について適用する」としていたが、以前から所有していた美術品について26年までの分の償却費を一括計上できるかを問うコメントが寄せられたため、今回の確定版ではさかのぼって償却はできない旨が明記された。平成27年1月1日以後最初に開始する事業年度からは減価償却資産として計上することが可能となる。その場合、27年1月1日を取得日として、定額法または200%定率法を選択して償却することができる。中小企業であれば、30万円以下の減価償却資産なら取得価額を必要経費または損金に算入する少額減価償却資産特例を適用することもできるとしている。
 また、これまでは美術品が減価償却資産に該当するかどうかの基準として、作者が美術関係年鑑などに登載されている「プロの作者」であるものは原則として減価償却資産に該当しないとしてきたが、著名な作家であっても年鑑に掲載されていないケースがあることや、またその逆のケースもあることから、基準そのものを廃止した。

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