<タックスニュース>

医療機関 6割が消費増税分補てんできず  診療報酬改定に限界

 日本医療法人協会など12の医療団体が参加する日本病院団体協議会は2月27日、「医療機関における消費税に関する調査結果」とする報告書を発表した。それによると、2014年4月の消費増税による負担増を、診療報酬のプラス改定によって補てんできている医療機関は全体の半数に満たないことが分かった。6割が消費増税による経費の増加を完全には補てんできておらず、特に規模の大きい病院ほど補てん率が低いことが明らかになった。
 調査は、13年度までの実績値を基に、診療報酬による消費増税分の補てん状況を推計したもの。
来院者から病院に支払われる診療報酬は、消費税が非課税となっている。そのため、病院は一般企業のように、消費増税分を価格に転嫁することができない。
 一方で、病院が注射器・包帯などの備品を業者から仕入れたり、医療機械に設備投資したりする際には消費税がかかることから、病院の負担増をカバーするため、政府は消費税率が引き上げられるタイミングに合わせて、公定価格である診療報酬をプラス改定してきた。
 しかし今回の報告で、診療報酬の改定では病院の負担増をカバーしきれていないことが明らかになった。調査によると、増税分をどれだけ補てんできているかという質問に対して「50%未満」と答えた病院が全体の4.6%、「50%以上100%未満」と答えた病院が60.7%と、合わせて65.3%の病院で補てん不足が生じていた。逆に、補てん率が150%以上を超える病院も13・9%あり、個々の病院で大きなバラつきがあることが分かった。
 また病床規模別で見ると、400床以上を持つ大病院では、経費増額分に対して平均で70・5%しか補てんできておらず、規模の小さい病院に比べて補てんできていないケースが多かった。大規模病院では医療環境整備のための設備投資額が大きいことから、投資部分が直接的に補てんされていないことが理由とみられる。
 同日に開いた記者会見で協議会の伊藤伸一副会長は、「診療報酬の改定による補てんには限界がある」と述べ、現在非課税となっている診療報酬について「課税制度に改める必要がある」と改正を求めた。

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<タックスワンポイント>

マイナンバー 社員の番号 10月から収集可能  20種類の調書が3年記載猶予

 内閣官房は2月17日、「事業者による個人番号の事前収集について」とするお知らせを発表し、マイナンバー制度の開始前でも企業が社員の個人番号を収集してよいとする見解を示した。2016年1月の運用スタートに向けて、企業は前もって社員の個人番号を収集して制度開始に備えることができる。
 すべての個人と法人に番号を割り振って税や社会保障を一元管理するマイナンバー制度は、今年10月に個人番号の通知が開始される。事業者は来年1月以降のすべての給与の源泉徴収票や報酬の支払調書に個人番号を記載することが義務となるが、実際にマイナンバーの取り扱いが始まるのは来年のため、今年のうちに前もって社員などの個人番号を収集することはできないのではないかと危惧する声があった。それを受けて、内閣官房はホームページ上にQ&A方式のお知らせを掲載し、「あらかじめ個人番号を収集することは可能」との見解を明確化した。
 これにより、番号が通知される10月から制度が開始する1月までの間に、企業は個人番号を収集し、特定個人情報ファイルを作成するなど事前準備にあたることが可能となる。ただし番号収集に際してはマイナンバー関連法で定める本人確認措置に従って番号が本人のものかどうか確認する義務があり、「番号通知カード」と運転免許証やパスポートなどの写真付き身分証明書が必要になるので注意が必要だ。
 また、マイナンバーの番号記載を猶予する法定調書の一覧を国税庁が公表している。原則的に16年1月1日以降に発生する支払いについての法定調書には個人番号や法人番号の記載が義務付けられるが、猶予規定が設けられたものについては、3年間は番号を記載しなくてもよい。猶予される調書は、非上場会社が配当を行った時に税務署に提出する「配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書」や、みなし配当があった時に提出する「配当等とみなす金額に関する支払調書」、「株式等の譲渡の対価等の支払調書」など20種類。100万円を超える海外への送金について作成される「国外送金等調書」など、大半は金融機関が作成する調書となっている。

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