<タックスニュース>

自公が軽減税率で本格議論  対象品目や導入時期で意見に隔たり

 消費税率を一部品目に限って低く抑える軽減税率の導入に向けた自民、公明両党の本格的な検討が始まった。しかし、対象品目や導入時期をめぐる考えの隔たりは大きく、両党は難しい調整を迫られそうだ。
 自民党の野田毅税制調査会長は5月22日、与党協議後の記者会見で、今秋の臨時国会に軽減税率関連法案を提出することに対して「それは難しいと思う」と否定的な見解を示した。
 与党は昨年末、消費税率10%への引き上げが2017年4月に延期されたことに伴い、17年度からの軽減税率導入を目指すことで合意。公明党は10%引き上げと同時の導入を目指しており、準備期間を考慮すれば最低でも臨時国会への法案提出にはこぎつけたい意向がある。しかし、野田氏は「『10%時』に導入すると申し上げている。それがすべて」とクギを刺した。
 財務省が対象品目として示している3試案は、①酒類を除く飲食料品、②生鮮食品、③精米。最新の試算では、軽減税率適用による1%当たりの減収額は、①が6600億円、②が1700億円、③が200億円だ。
 麻生太郎財務相は5月26日の記者会見で、「いずれの案も一長一短ある」と指摘。特に①の案は「(減収額の)ケタが大きすぎる。財源が埋まらない限りなかなか難しい」と述べ、なるべく広く軽減税率を適用したい公明党をけん制した。
 財務省試案では、①、②は関連事業者の範囲が広く、適正課税の観点から、商品ごとに税率や税額を明記した請求書(インボイス)の導入が必要と指摘。経理方式の大幅変更で事務負担が増えるため経済界の反発が強く、これも軽減税率導入へのハードルとなりそうだ。
 公明党の斉藤鉄夫税調会長は27日の与党協議後、「課題をどう乗り越えていくか、それぞれ知恵を絞って議論しようとなった」と語るのが精一杯だった。


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<タックスワンポイント>

年金代わりのリバースモーゲージ  空き屋対策にも効果あり?

 5月26日に空き屋対策特別措置法が施行された。全住宅の7軒に1軒が空き家で、その数は820万戸にも上るといわれている。この空き屋問題解決の一助になるのではないかと期待される金融商品がある。それが、自宅を担保にして金融機関や公的機関から老後資金を借り、死亡後に自宅を売却することで借りたお金を返済するリバースモーゲージだ。現在、30余りの銀行がこの関連商品を販売している。
 住宅購入資金を金融機関から一括で借り入れ、毎月一定額を返済することで借入残高が減る住宅ローンに対して、リバースモーゲージは、融資を受けることで借入残高が増えていくためリバース(逆)モーゲージ(担保)といわれている。
 リバースモーゲージのメリットは、愛着ある自宅に住んだままお金を手にすることができる点だ。毎月一定額を受け取る年金と似ていることから住宅担保年金と呼ばれることもある。
 一方、デメリットとしては、不動産の立地条件や建物の規模や状態によっては、希望通りの融資が受けられないことなどが挙げられている。また、金融機関としては、融資額の回収が住人の死後になるため、時間的なリスクからあまり高い金額は融資されないという実情がある。おおむね、住宅の時価の50%か、もしくは1500万円までと決められていることが多いようだ。
 このリバースモーゲージによって、これまでは空き屋として放置されていた建物を担保にお金を借りるケースや、賃貸として貸し出すケースが増加すると見られている。リバースモーゲージが空き屋の減少につながるのか今後に注目したいところだ。

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