<タックスニュース>

高速増殖炉「もんじゅ」に異例の勧告  税金1兆円投入も20年実績ゼロ

 原子力規制委員会は11月4日、福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」をめぐり、所管する文部科学省に対して運営体制の見直しを勧告した。もんじゅの運営主体となっている日本原子力研究開発機構を「(もんじゅを)任せるには不適当」と断じ、同機構に代わる運営組織を提示するよう文科省に求めた。これまでに1兆円規模の税金が注ぎ込まれ、現在も年200億円の維持費が投入されている夢の原子炉が、何の実績も残さぬまま存廃の岐路に立たされている。
 もんじゅは、発電をしながら新たな燃料を生み出す「夢の原子炉」として1994年に送電を開始したが、早々に冷却材のナトリウム漏れ事故を起こし、そのまま95年に運転を停止。2010年、14年ぶりに運転再開されたものの、再び3ヶ月後に重さ3・3トンの核燃料交換装置が落下して抜けなくなるトラブルが発生し、運転を停止した。それ以来、現在に至るまで運転は再開されていない。
 その間にも、計器の誤作動、点検の不備、トラブルの隠ぺいなど管理上のさまざまな問題が発生。12年にはトップの交代を含む体制の刷新を行ったものの体質は変わらず、過去3年間で9回の保安規定違反が確認されていた。
 規制委はこうした状況を踏まえ、同機構がもんじゅを運転するための基本的な能力を持っていないと判断したことになる。規制委の田中俊一委員長は、「20年間同じことを繰り返しており、勧告は長期的な経緯に基づく判断だ」として、5人の委員の共通した認識だと述べた。文科省から新たな運営主体が示されなければ廃炉もあるのかとの質問に対しては、「廃炉にするかどうかを含めて文部科学大臣が考えることだ」と言うにとどめた。
 もんじゅは事業が始まった1980年から今年に至るまでで、建設費5886億円(うち公費4504億円)、運転・維持費4339億円(すべて公費)が投入されている。また現在も、維持費として年間200億円の税金が投じられている。

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<タックスワンポイント>

最高で2000万円まで非課税  夫婦間のマイホーム贈与

 長年、家族で住み続けてきたマイホームという資産を贈与したとき、ある制度を利用することで数千万円単位のお金が非課税になることをご存じだろうか。結婚して20年以上の夫婦であれば、居住用の不動産を贈与しても、条件を満たせば2000万円まで無税になる。贈与税の基礎控除110万円と合わせて2110万円までは贈与税がかからない。贈与は夫から妻でも、妻から夫でも、どちらでもかまわない。
 この制度は、生前に相続財産を贈与することが可能なので、相続税が課税される人にとっては利用して損はないはずだ。
 制度を利用できるのは、(1)結婚して20年以上の夫婦、(2)居住用不動産または居住用不動産の購入資金、(3)贈与を受けた配偶者は贈与を受けた翌年の3月15日までに居住用不動産に居住し、以後も引き続き住み続ける見込みがある、(4)贈与を受ける配偶者から過去に制度の適用を受けていない――の条件を満たしていなければならない。
 では、3500万円の夫名義の自宅を妻に贈与した場合、贈与税はどうなるのか。
 制度を利用しないで贈与すると、(3500万円?110万円)×55%〔贈与税の税率〕?400万円〔控除額〕で、1464万5000円。
 制度を利用すると、{3500万円?(2000万円+110万円)×45%〔贈与税の税率〕}?175万円〔控除額〕で、450万5000円。
 つまり、1464万5000円?450万5000円の1014万円が”お得”ということになる。
 また、この制度にはさらなるメリットがある。仮に、夫が病気で長く生きられないことが分かってから財産を贈与したとする。本来は死亡日から逆算して3年以内の贈与は、相続財産の価額が相続財産に加算され、相続税の対象になる。ところが、この制度では相続財産に加算されない。
 この制度を利用するなら、マイホームの売却による特別控除制度を利用する方法もある。マイホームを夫婦の共同名義にした上で売却すると、譲渡益から夫婦それぞれ3000万円まで、合計6000万円の特別控除を受けることができることも覚えておきたい。


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