<タックスニュース>

GPIF、株式の自家運用見送りへ  国家の企業支配に懸念

 厚生労働省の社会保障審議会年金部会は2月8日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による株式の自家運用を認めないことで意見が一致した。公的機関が企業の株式を取得して議決権を得ることに対して、国家の企業支配につながるとの懸念が払拭されなかった。
 現在GPIFは、資産運用会社などの仲介を通して投資運用を行っている。これに対し、ワンクッションを挟むことで機動性に欠けるとの観点から、規定を見直し、GPIFが直接投資運用を行えるようにすべきとの声が挙がっていた。自家運用に踏み切れば委託料を抑えることができ、収益性も上がるとの考えもあった。
 賛成派は、銘柄を選んで投資する「アクティブ運用」については認めず、日経平均株価などに連動した「パッシブ運用」での自家運用を解禁することを主張したが、大多数の委員は否定的な見方にとどまった。140兆円を抱える巨大ファンドであるGPIFは、それ自体がすでに株価そのものに影響を与えてしまう市場の”クジラ”であることから、影響力の大きさを懸念したかたちだ。
 またGPIFは2015年秋に株式運用によって3カ月で8兆円の年金積立金を失っており、16年1月からの世界的な株式市場の混乱もあいまって、株式を運用すること自体への不安も解禁賛成派の主張を鈍らせた。

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<タックスワンポイント>

高額な不妊治療  保険商品で負担軽減

 金融庁が不妊治療にかかる費用をカバーする保険商品を2016年春にも解禁する方針を固めた。政府の1億総活躍国民会議は15年11月、不妊治療支援の拡充を提言したことから、保険商品の販売を容認することになった。病気やけがの治療に備える医療保険の特約として付加し、加入後に不妊症と判明すれば保険金を支払う形が想定されるという。
 とかく不妊治療は高額で、30代の夫婦の平均で130万~140万円、40代の夫婦の平均では300万円を超えるというデータもある。健康保険は「疾病・負傷」について給付を行うことから、これに該当しない不妊治療には適用されず、高額となる体外受精なども含めて全額自己負担となるからだ。
 今回の金融庁の解禁は医療保険の特約であることから、どうしても事前に保険に入ることができる経済的余裕のある人のみが対象になることが予想される。経済力によって不妊治療を受けられるかどうかが決まるようになれば、新しい命が貧富の差で選別されることにもつながりかねない。憲法14条の「法の下の平等」に抵触することも考えられる。不妊治療について、国は民間任せにせず、しっかり公平にカバーできる制度の構築に着手すべきだ。

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