<タックスニュース>

GPIFの年金運用、損失拡大を懸念  30兆円規模の大穴も

 英国が国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を選択した衝撃が世界の金融市場を揺さぶる中、市場関係者からは日本にも深刻な影響が及びかねないとの見方が出始めている。とりわけ年金資金の多くを株式で運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」の運用損が拡大することへの懸念が強まっている。
 離脱派が勝利した6月24日は日米欧など主な市場で株価が急落し、世界同時株安の様相となった。とりわけ開票結果が最初に伝わった東京株式市場では、日経平均株価の終値が前日比1286円33銭安の1万4952円02銭に落ち込み、下げ幅は16年ぶりに1200円を超えた。
 こうした中、GPIFの年金積立金の運用損拡大への懸念が広がりつつある。安倍晋三政権は2014年10月、GPIFの運用に占める国内外株式の比率を50%に倍増させた。積極的にリスクを取って高い運用益を確保し、年金財政を立て直す狙いだったが、足下の株安ではリスクが拡大。政府の試算では、仮に「リーマン・ショック級」の株安が起きた場合、GPIFの運用損は26兆円余りに達する。
 英国民投票後、週末を挟んで世界的な株安の流れはいったん落ち着いている。ただ、6月24日の日経平均の下げ幅は、リーマン・ショック時の1日の最大下げ幅である1089円より200円も大きかった。市場では「年金積立金に最大30兆円規模の穴が空きかねない」(国内大手証券アナリスト)との声も上がる。
 塩崎恭久厚生労働大臣は28日、閣議後の記者会見で「株式市場の変動がGPIFの資産に短期的に影響を与えるのは事実」と認めた上で、「長期的に見て年金財政上の必要な資産を確保するという意味では、現在の運用資産構成の方が国民に有益であることはなんら変わらない」と述べ、市場の不安払拭に努めた。
 2015年度の運用実績は参院選後の7月末に公表される。

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<タックスワンポイント>

小規模宅地の特例  単身赴任中は「同居」になる?

 相続した居住用の土地のうち、330平方メートルまでの部分の税額を8割減額する特例(小規模宅地の特例)を配偶者以外の親族が適用するためには、ほかにマイホームを持たず、相続開始直前にその家で被相続人と同居しており、相続税申告期限までそこに住んでいる必要がある。
 ここでいう「同居」だが、父の所有していた家屋に、長男、その配偶者、子どもが同居していたとする(被相続人の配偶者はすでに死亡)。長男が転勤で他県に単身赴任となり、家屋には父、長男の配偶者、子が住んでいた。長男が転勤から戻ってこないまま、父が死亡。家屋と土地を相続した長男の単身赴任は、相続税の申告期限まで続くことが決まっている。
 このケースでは、相続人である長男は相続開始直前にそこに住んでいなかったことになる。しかし、妻と子が住んでいる以上、単身赴任が終わればその家に帰ってくることが明らかであり、「生活の拠点」とみなし、小規模宅地の条件である「同居」を満たすことになる。そのため、小規模宅地の減額の特例の適用を受けることが可能だ。国税当局によると、配偶者や子の日常生活の状況、家屋への入居目的、家屋の構造、設備の状況などの条件から総合的に適用の可否を判断するという。

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