<タックスニュース>

相続税調査の”大衆化”到来!  税務署は突然やって来る

 相続増税による基礎控除額の引き下げで課税対象者が増えたことで、税務調査を受ける可能性が高まった点は見逃せない。つまり、相続税調査の”大衆化”が訪れることになる。増税以前から、相続税は申告件数に対する税務調査割合がほかの税目と比べて圧倒的に高く、2014年度に実施された相続税の実地調査で、課税対象になる相続のうち23・6%が税務調査のターゲットになっている。相続税の場合、税務調査が入れば高い確率で申告漏れが指摘される。実地調査に1万2406件のうち、申告漏れなど非違があった件数は1万151件、非違割合は81・8%となっているのだ。
 『納税通信』で「税務調査の実態と調査官の本音」を連載している、国税OBの松嶋洋税理士は「課税対象者が増えたことで相続税調査が厳しくなったとは感じていませんが、申告件数が増えることで申告書を見て間違いがあればすぐに税務署が指摘する流れはできつつあります。特に小規模宅地の特例を受ける際に相続人全員が受ける同意書は過去に厳しい裁決例があるので注意が必要です」と指摘する。
 相続が発生し、悲しみが和らいだところに税務調査はやってくる。先を見据えた相続対策ならびに相続税対策への準備とともに、家族や親戚が一堂に会する機会も多いこの時期にしっかり話し合っておきたい。

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<タックスワンポイント>

孫養子への相続2割加算で”最高税率”66%  税務上の養子の上限実子ゼロなら2人

 孫を養子縁組すると相続税が節税できることがある。法定相続人の増加によって、課税価格の合計額から差し引ける基礎控除額が上積みされるほか、生命保険の非課税枠が増加するためだ。
 ただし、相続人が実子や配偶者(被相続人の1親等の直系血族)でないときは、その人の相続税額に20%が加算される。つまり、必ずしも税負担が減るわけではない。なお、子どもが死亡したときに、その子どもの子(代襲相続人)を孫養子にした場合は加算されない。
 この20%加算は、相続税の最高税率55%を超えるときにも適用される。遺産額から基礎控除額を差し引いた課税標準額が6億円超で最高税率が適用されるとき、孫養子が課される相続税率は「55%+(55%×20%)」の66%になる。
 なお、相続開始前3年以内に相続人に贈与された財産は相続財産とみなされ、相続税額の計算に含めなくてはならないが、孫に対する贈与は相続開始前3年以内の贈与であっても原則として相続税額の計算に入れる必要がない。この点も孫関連の節税策のひとつとして覚えておきたい。
 養子の人数について民法上制限はないが、相続税の計算上では上限が定められていて、被相続人に実子がいるときは1人まで、実子がいないときは2人までとされている。

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