<タックスニュース>

相続時の上場株式  金融庁が9割評価を要望

 金融庁が2017年度の税制改正要望で上場株式の相続税評価の見直しを求めた。相続してからの価格変動リスクを考慮して、相続時の時価の90%程度に割り引いて評価することを適当としている。不動産など他の資産と比べて不利になっている現状を解消して、株式投資への資産の流れを促したい考えだ。
 現行制度では、上場株式は原則として相続時点の時価で評価されている。一方で、土地は公示地価の80%程度、建物は建築費の50~70%程度が相続税の評価額となっている。実際の取引価格にばらつきがあり、路線価などの算出頻度も少ないことから、価格変動リスクがあると判断されているためだ。
 ただ、上場株式も、相続時から遺産分割協議などを経るまでの一定期間譲渡できないのにもかかわらず、市場の急激な変動で価格変動リスクにさらされるケースも多い。上場株価は、リーマン・ショック時は約22%、東日本大震災時は約17%下がったとし、金融庁は10%程度割り引いて評価することが適当と試算している。
 相対的に株式の相続税負担が重いため、世間には上場株式を売って不動産を購入するなどの事例もあり「投資家の株式離れが助長されている」という声もある。政府が「貯蓄から投資」への流れを政策対応で加速する中で、税制面でも環境を整えて上場株式への投資を増やしたい考えだ。
 ただ、金融庁は16年度税制改正要望でも上場株式の評価額を時価の70%まで下げるよう求めたが導入を見送られた経緯がある。政府・与党には「株式は時価評価があくまで基本」との意見も根強いからだ。金融庁は引き下げ幅を圧縮して理解を得たい考えだが、年末の税制改正大綱の策定に向けてはなお曲折がありそうだ。

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<タックスワンポイント>

廃車時には自動車重量税の還付手続きを  解体届出と同時に申請

 解体届出と同時に申請自動車の適正なリサイクルを促進するための法律「自動車リサイクル法」に基づき、マイカーを廃車にしたときには、自動車重量税の還付を受けられる。
 還付申請は、ディーラーなどの引き取り業者から自動車が解体された旨の連絡を受けた後に行う。還付申請書は「永久抹消登録申請」または「解体届出」といった書類と一体になっており、納税者は運輸支局にそれらの書類を一括で提出することで、税務署に改めて申請する必要がなくなる。所轄税務署は還付申請書を運輸局から引き継ぎ、2カ月半ほどの審査の後、自動車ユーザーは重量税の還付を受けられる。
 自動車重量税は車両の「重量」に応じて課税額が決まり、同じ重量でもエコカーであれば減税される税金で、還付額は車検の残存期間に応じて決定され、その期間が1カ月未満だと還付を受けられない。
 なお、自動車リサイクル法では、解体後に残るごみ(シュレッダーダスト)、エアバッグ、フロン類の引き取りやリサイクルを自動車メーカーや輸入業者に義務付けている。そのための費用を実質的に負担しているのは車のユーザーで、購入時点で「リサイクル料金」として支払わされ、廃車になるまで資金管理団体(自動車リサイクル促進センター)に預けていることになる。
 自動車は鉄やアルミなどの金属が多く使われていることもあり、リサイクル率が比較的高く、総重量の8割は加工によって再び使うことができる。しかし、1年あたり300万台以上が廃車になっているなかで、残り2割のシュレッダーダストの量は非常に多く、ごみの適正な処分は国や自治体にとって大きな課題となっている。

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