<タックスニュース>

法定相続分の引き上げ案  配偶者への厚遇に反論続々

 法務大臣の諮問機関である法制審議会(高橋宏志会長)は10月18日、相続部会がまとめた中間試案のうち、配偶者の法定相続分を引き上げる案について、大幅に修正する方針を固めた。法務省が7月~9月にパブリックコメント(意見公募)を求めたところ、反対意見が多かったため同部会で引き続き議論し、来年中に意見をまとめて法相に答申する。
 中間試案では、(1)配偶者の居住権保護、(2)配偶者の相続分見直し、(3)相続人以外の金銭請求、(4)遺言請求の見直し――などが盛り込まれていた。
 このうち(2)の配偶者の相続分の見直しについて同部会で議論が継続される。結婚から20~30年過ぎた配偶者は子どもと法定相続分を分ける割合を現行の2分の1から3分の2に引き上げるとされていたが、これに加え、結婚後に夫婦の財産が増えた分に応じて、配偶者の相続分を増やす案も示されていた。
 パブリックコメントでは、「夫婦関係が破たんしていた場合も引き上げるのは良くない」「配偶者だけが財産増加に貢献したわけではない」などの意見が相次いだ。
 相続法制の大規模な改正は1980年以来となる。2013年9月に最高裁が出した判断がきっかけだ。最高裁は結婚していない男女の子(婚外子)の相続分を結婚した夫婦の子の半分とする民法規定を違憲と判断。判決を受け、民法改正が行われたが、自民党から「正妻や子の権利が必要だ」との声が上がっていた。昨年2月、当時の上川陽子法相が相続に関する規定の見直しを法制審に諮問していた。

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<タックスワンポイント>

店舗併用住宅で3千万円特別控除  居住用が9割なら全体で適用可能

 マイホームを店舗としても使っている個人事業者が、その店舗併用住宅を売って、別の住宅に買い替えたときは、居住用財産に適用される「3千万円の特別控除」と、事業用財産に適用される「買い替え特例」をそれぞれ利用できる。
 マイホームに適用される特別控除は、受け取った譲渡所得から3千万円までを差し引けるもの。一方の事業用資産の買い替え特例は、別の事業用資産に買い替えたときに、納税額の一部を繰り延べして、売却時点での納税額を少なく抑えられる制度だ。
 3千万円の特別控除を受けられるのは、店舗併用住宅のうち、居住のために使っていた部分に限られる。ただし、マイホームとしての使用割合が90%以上であれば、全体を居住用に使っていたものとみなして特例を受けることができる。

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