<タックスニュース>

改正民法が成立  施行は2020年頃

 民法の改正法が、5月26日の参院本会議で賛成多数で可決され、成立した。インターネット取引の普及など時代の変化に応じて、債権ルールや消費者保護など多くの面で、抜本的な見直しが図られた。改正法は公布から3年以内に施行されることになる。
 今回の改正の柱は、未払金の返還請求期間である「消滅時効」の120年ぶりの見直しだ。消滅時効とは、一定期間の経過により、債権などの財産権が消滅する制度のことで、現行制度では、「権利行使できる時から10年間」という原則に加えて、職種別に1~3年の短期消滅時効が設けられている。改正民法では、職種別の短期消滅時効が廃止され、支払いを請求できる期間は、(1)請求権があると知ったときから5年、(2)知らなかったときは請求できるようになってから10年――と二種類に簡略化された。
 インターネット通販や保険などで、たとえ消費者が約款に同意していても、その内容が利用者に一方的に不利益になるようであれば契約は無効とするよう改められる。契約後に事業者の判断で約款を変更できるのは、消費者の利益になる場合に限るとの内容も盛り込まれた。その他、商品に瑕疵があれば契約解除や賠償請求が認められ、認知症患者との契約を無効とすることとなった。
 また当事者同士で利息について取り決めをしていない貸し借りに使われる「法定利率」が5%から3%に引き下げられ、市場の金利に合わせて3年ごとに見直す変動制になる。史上まれにみる低金利が続いている状況に合わせたものだ。
 賃貸住宅の敷金返還のルールも変わり、借り手の故意や過失でできた傷や汚れなどの分を除いて、敷金は原則として返されることになった。賃貸借が終了した時には、「賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭債務の額を控除した残額を返還しなければならない」として、敷金の返還義務を規定した。
 敷金をめぐるルールは地域や業者によって大きく異なるが、今後は新ルールに基づき、「一カ月分は償還」などと無条件で定めた契約は無効になる可能性があることを認識しておかねばならないだろう。


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<タックスワンポイント>

マイホーム売却損には救済処置あり  損失繰り延べは最大4年が上限

 アベノミクス効果かどうか分からないが、都心部では地価の高騰が続いているようだ。とはいえ全体の景気が高まっているとはいえず、不動産を売っても、かつてのような利益を期待できる時代ではない。そのため、転勤などでマイホームの売却を余儀なくされたときなど、多額の損失を抱えてしまう人もいる。
 こうした不動産売却損に対しては救済措置が用意されている。原則として、不動産の売却損をほかの所得と損益通算することはできないが、一定の条件を満たせば、損益通算と翌年度以降の繰越控除も可能となる。
 例えば、所得1000万円の人が家屋を売却して売却損が3000万円発生すると、差し引き所得がマイナス2000万円となり、その年は所得税・住民税ともにまったくかからないことになる。ただし、何もしないでいると翌年以降は家屋の売却損は使えずに、通常の所得税・住民税を払わなければならない。
 ところが、新たにマイホームを購入するとなると、マイナス所得の2000万円が生きてくる。その翌年、2年目、3年目にわたって、その損失を繰り延べ、最大で譲渡年の損益通算と合わせて4年間、所得税・住民税が免除されることがある。
 なお、この救済措置を受けるには、平成29年12月31日までに長期保有(5年超)の家屋を譲渡し、譲渡年の前年から翌年12月31日までに新しい家屋を取得することなどが条件となる。

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