<タックスニュース>

税務処理の事前照会  業界団体の支部でも可能に

 これから行おうとしている税務処理が税法上問題ないかなどを事前に国税庁に問い合わせる「事前照会」の取り扱いが、7月1日から見直される。6年ぶりとなる見直しで、これまでは不可能だった同業者団体の地域支部単位での照会が可能になるほか、照会書類への記名押印などの要件が緩和された。
 これまでは、業界団体などが事前照会を行うに当たっては、照会できるのはその業界の最上部団体のみに限定し、各自治体の支部などが個別に照会を行うことは認められていなかった。そのため地域ごとに商慣習が違ったり、地域独自の取引について照会したかったりという時に回答を必要とする当事者が照会者になれなかった。今回の見直しでは利便性向上のため、最上位団体のみが照会できるとする規定を撤廃している。同様に、照会をする取引の当事者でなくても、その取引と密接な関係を持つ関連事業者であれば、直接自分で照会ができるようになった。
 また事前照会を行う際に必要となる書類への記名について、これまでは必ず代表者の記名、押印を求めてきた。しかし代表者から記名押印をもらう事務手続きが煩雑との声があったことから、今後は、担当役員のものでも代えられるようになる。その際には、書類に役職名を記載することになる。
 そのほか、将来行う予定のある取引についての照会ルールが明確化された。事前照会の規定では、内容の一部を変えながら繰り返し照会して法の抜け穴を探すことを防ぐため、「ある税務処理を行ったら脱税に当たるか」というような仮定の事実関係に基づく照会は行うことができない。一方で、まだ実現していない事実関係であっても、個別に資料を提出できるといった具体性のある取引については照会の対象とされている。
 しかしこの点を誤解して、照会対象であるにもかかわらず将来の取引だからというだけであきらめている例があるとして、今回の見直しでは、個別具体的な資料の提出が可能な取引については、将来的なものであっても照会できることが明確化された。

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<タックスワンポイント>

国税局が調査に至る3段階  机上・外観・内定調査でターゲットを選定

 どんな経営者も、税務調査の対象となるのはまっぴらだと思うはず。その恐ろしさを実感し、身を引き締めるためにも、国税局が会社の調査に着手するまでの3段階を知っておこう。
 第1段階は、机上調査。国税庁の調査員は、KSK(国税総合管理)システムを使って全国の税務署から集約した情報を得ることができる。それを机上のパソコン画面にアップし、一つひとつチェックして調査対象を探す。その情報には、毎年提出される申告書はもちろん、調査官が実際に見聞きしたメモなどもある。
 第2段階は、外観調査。その会社の様子を外から観察して、不正を働いているかの判断材料を見つけようとする。調査官は、経営者の通勤ルートを辿り、道中にある金融機関を把握する。敏腕調査官なら、簿外取引相手を割り出すのもお手のもの。前回調査で、取引先として挙がっていなかった会社の前に、調査対象の会社の車が止まっていることを目ざとく見つけるのだ。
 第3段階は、内偵調査。実際に調査対象の会社にお客として入るなどして調査する。現金商売や店舗営業している会社がターゲットにされることが多い。税務調査官はみんながみんな黒っぽいスーツを着て鋭い目つきをしているとは限らない。見慣れないお客にはご注意を。

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