<タックスニュース>

サンリオと国税が対立  海外子会社巡り11億円追徴

 キャラクター商品などを手がけるサンリオ(東京都品川区)はこのほど、香港にある子会社の所得をめぐって東京国税局から28億円の申告漏れを指摘されたと発表した。法人税率の低い国に税逃れ目的で中身のない子会社を設立した企業に適用される「タックスヘイブン対策税制」を適用されたことが理由。同社は追徴税額11億円をすでに納付したが、子会社にはタックスヘイブン対策税制を適用されない事業実体があるとして、今後再調査請求や国税不服審判所への不服申立てを行っていく方針を明らかにしている。同税制の適用の可否をめぐっては、2017年10月に、自動車部品大手のデンソーが受けた追徴課税処分約70億円余りが取り消される最高裁判決が出ている。
 サンリオが申告漏れを指摘されたのは、ハローキティなどのなどの人気キャラクターを商品化するライセンスビジネスなどを行う香港の子会社2社。12年からの4年間でおよそ28億円を申告していなかったとされた。
 同社に適用されたのは、税率の低い国や地域に実体のない会社をつくる企業に対して、過度な節税を防ぐことを目的として導入された「タックスヘイブン対策税制」だ。海外子会社の所得には通常、日本では課税されないが、法人税率が過度に低い国や、法人税のない国に子会社を設立し、その子会社に主たる事業の実体がなく関連会社の株式保有や資産管理だけが目的と判断されたときには、親会社の所得と合算して日本の法人税率で課税されることとなる。従来は「これ以上法人税率が低ければ対象となる」というトリガー税率が設定されていたが、17 年度税制改正で税率基準は原則的に廃止され、現在は税率にかかわらず事業の実体をもって判断することとなっている。
 東京国税局は、サンリオの子会社2社について、現地に子会社を設立する経済的合理性がなく実体のない税逃れのための法人だとして、親会社であるサンリオの所得と合算すべきと認定した。これに対してサンリオは12月15日付けで声明を発表し、「子会社は、現地の消費者の嗜好を反映する当社キャラクターのローカライズ(現地化)業務やキャラクタービジネスを展開するという積極的な経済合理性を有」すると反論。課税処分について「事業実態が十分に考慮されず誠に遺憾であります」として、主張の正当性を訴えていくと発表した。
 タックスヘイブン対策税制を巡っては、デンソーへの課税処分を取り消す判決が最高裁で17年10月に確定したばかりだ。判決では、シンガポールにあるデンソー子会社の収入、所得、人員などの状況を総合的に考慮した結果、子会社の事業を「相当規模の実態がある」と認定した。サンリオの子会社についても同様に、実際の子会社の業務や人員状況などが課税処分の正当性を判定するポイントとなりそうだ。

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<タックスワンポイント>

土地の分け方も工夫次第で相続税額大幅減  数少ない事後対策のひとつ

 相続税対策と言えば財産贈与や現金の不動産化などの生前対策がほとんどであり、相続発生後は有利な特例を不足なく利用することがメインで、新たに講じることが可能な節税策は数少ない。
 しかし限られた事後対策の中でも大きな節税効果を見込めるのが、土地の分け方を工夫することだ。
 道路に面している部分が20メートル、奥行きも20メートルの土地の相続税評価額が1億2千万円だとする。相続人はふたりで、一つの土地として登記されている土地を複数に分ける「分筆」により、200平方メートルずつ分け合うことになった。シンプルな分け方は道路部分10メートル×奥行き20メートルの土地二つに分筆することだろう。このケースでは、それぞれの土地の相続税評価額は6千万円ということになる。
 これに対し、例えば一つの土地を道路部分16メートル×奥行き12・5メートルの宅地にすると、残りの土地はL字形のいわゆる「旗竿地」になり、その土地は間口が狭まるので1割程度減額されることになる(減額率は形状や用途地域により変動)。四角の土地の評価額は通常の分け方と同様に6千万円だが、旗竿地は減額率が1割だとすれば5400万円となり、土地全体で600万円も財産評価額を減らせることになる。
 分筆で評価額を減らすコツは、宅地として使いやすい四角の土地だけではなく、使い勝手の悪い不整形地をつくることだ。ただし、道路に接しない土地や三角形の土地など宅地として通常使えない土地を分筆で生じさせると、単に相続税の節税だけを目的にした不合理な分割と税務署に判断され、評価減が認められないことがある。

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