<タックスニュース>

設備投資減税  岡山市などが「税負担ゼロ」宣言

 岡山県美作市や岡山市、長野県岡谷市などが、中小企業の新規の設備投資を対象に、3年間固定資産税をゼロにする方針を打ち出した。国会で審議中の2018年度税制改正法案に盛り込まれた新たな設備投資減税制度を利用するもので、法成立に先駆けて中小企業支援を打ち出すことで、地域経済を活性化させたい狙いだ。
 税制改正で新たに導入される制度は、市町村が定めた基本計画に適合し、旧モデル比で生産性が年平均1%以上向上するなどの要件を満たす機械装置、工具、器具備品、建物附属設備などを対象に、固定資産税を3年間減免するというもの。
 同様の制度として、これまでは経営力向上計画の認定などを受けると新規の設備投資の固定資産税が3年間半減される特例があったが、新制度の導入に伴い廃止される見通しだ。従来の特例では軽減幅は2分の1だったが、新制度では自治体の裁量で2分の1からゼロまで変動させることができるようになる。国としては企業の設備投資をできるだけ後押ししたい考えだが、固定資産税は地方自治体の主力の財源でもあるため、自治体の裁量を認めた形だ。
 税制改正法案を先取りする形で固定資産税の減免計画を明らかにしている自治体は、まだ全国でも数えるほどしかない。岡山市などは全国に先駆けて「税負担ゼロ」を打ち出すことで、外部から企業を誘致したい狙いもあると見られる。計画認定を受けた企業は、国のものづくり補助金の応募に際しても、優先的に採択されるなどのメリットもある。
 税優遇の対象となる設備は、それぞれ1台が機械・装置であれば160万円、測定工具および検査工具、器具・備品であれば30万円、建物附属設備であれば60万円以上のもの。制度の細部や市町村の定める導入促進基本計画については今後検討されることになるが、19年4月1日から21年3月末までに取得する設備を対象とすることは決まっている。
 また18年度税制改正では、今後策定される「革新的データ活用計画(仮称)」に沿って、他社やグループ企業内のデータと連携できる設備投資を行った企業については、取得価額の30%の特別償却か5%の税額控除の選択適用ができる特例も導入される見通しだ。対象となるのは、センサーなどのデータ収集機器、データ分析に必要なシステム、サイバーセキュリティー対策製品など。ただし税優遇の対象となるのは、合計額が5千万円を超える投資に限られる。


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<タックスワンポイント>

二世帯住宅の区分登記は相続税負担増  固定資産税は減額できるが…

 玄関や水回りが親子で別々の「二世帯住宅」であっても、土地や建物の登記は不動産全体でひとつのものとして「単独登記」や「共有登記」ができるが、固定資産税や不動産取得税の減額措置を親子それぞれが使って税額を減らすために親と子が別々に「区分登記」をすることも可能だ。ただし、区分登記をすると、相続が発生した際の負担が重くなるリスクがあるので注意が必要だ。
 固定資産税の額は、所在地の自治体が決める固定資産評価額(課税標準額)の1・4%が基本だが、宅地は200平方メートルまでの部分が6分の1、それを超える部分が3分の1に減額される。区分登記することで、この6分の1になる特例を二世帯分使うことが可能となる。例えば400平方メートルの土地に二世帯住宅を建てて子が単独登記したとすると、6分の1まで減額されるのは宅地の半分までとなる。しかし200平方メートルずつ区分登記すれば、宅地の全てが軽減対象となり固定資産税を抑えることにつながる。
 家屋部分も同様に、区分登記によって固定資産税を節税できる。床面積50~280平方メートルの新築家屋の固定資産税は3年間半額になるが、減額されるのは120平方メートルまでの部分に限られる。ただし、区分登記をすれば親子それぞれが減額措置を使えるので、最大240平方メートルまで税額が軽減されることになる。
 固定資産税評価額に3%の税率を掛けて計算する不動産取得税も、区分登記をすることで納税額を減らせる。一定の新築住宅は評価額から1200万円を控除できる特例があり、区分登記で二戸分ということにすれば控除額は2400万円に倍増する。
 しかし、区分登記をすると、相続した宅地の評価額を8割減らす「小規模宅地の特例」の適用外になってしまう。配偶者以外の相続人が特例を適用するには、相続が発生する直前に被相続人と同居していたか持ち家を持たずに別居していなければならないが、一定の二世帯住宅に住んでいれば建物は別々でも「同居」とみなされ適用対象になる。しかし、区分登記をすると同居していたことにはならない。

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