<タックスニュース>

平昌五輪の報奨金  スポンサー企業からの受け取りは一時所得

 平昌五輪が2月25日閉幕した。日本は冬季史上最多の13個のメダルを獲得し、日本オリンピック委員会(JOC)はメダリストに対して「金」で500万円、「銀」で200万円、「銅」で100万円の報奨金を支払うことになった。この報奨金はアルベールビル、バルセロナ両五輪が開かれた1992年から支給され、当初は金で300万円だったが、2016年リオデジャネイロ大会から500万円に増やした。銀と銅は据え置かれたままだ。
 報奨金は競技団体によって上乗せ支給されることもある。例えば日本スケート連盟は独自にJOCと同額の報奨金を支払う。金、銀、銅と三つのメダルを獲得した高木美帆選手はJOCと連盟の報奨金を合わせて1600万円の報奨金を受け取ることになる。金メダル2個を獲得した高木菜那選手は計2000万円の報奨金を受け取り、さらに所属する日本電産サンキョーの親会社で精密モーター大手の日本電産が4000万円を出すことを明らかにしている。
 報奨金は競技団体によってばらつきがあり、競技格差があるようだ。銅メダルを獲得したカーリングは競技団体から報奨金が出ない。
 また3月9日から開幕する平昌パラリンピックで、日本障がい者スポーツ協会が支払う報奨金は「金」150万円、「銀」100万円、「銅」70万円と大幅に下回る。一部報道によると、同協会が支払う報奨金は寄付金が原資となっているため、オリンピック並みの報奨金を支払えないという。
 報奨金の税金の取り扱いだが、JOCや障がい者協会の報奨金は所得税法の例外規定で非課税になっている。競技団体からの報奨金では最大300万円までが非課税となる。
 また所属企業から受け取る報奨金は給与所得、スポンサー企業からの報奨金は一時所得となる。

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<タックスワンポイント>

積み上がった社長からの借金は残せば相続財産  黒字なら解消は長期計画に

 資金繰りが厳しくなったときの当座の運転資金として、社長個人が一時的に会社にお金を入れるというケースは珍しくない。オーナー企業であれば財布を混同しがちということもあり、一度便利な方法として覚えてしまえば借金を繰り返し、気が付けば数千万円に膨らんでいるというケースも珍しくはない。
 こうした会社への貸付金は、社長の身に何かが起こって相続が発生すれば、すべてが相続財産として課税対象となる。手元に現金としてあるわけでもなく、将来的に返してもらえる当てがあるわけでもない借金のツケが、数千万円の税負担に化けてしまうわけだ。
 赤字の会社であれば、社長に債権放棄をさせた上で、それによって会社に生じた債務免除益を繰越欠損金と相殺していくという方法がある。数年にわたって赤字の範囲内で債権を放棄していくことで、債務免除による法人税負担を負わずに済む。
 問題は業績のよい黒字企業で、法人税負担を抑えながら社長借入金を解消していくには、ある程度長い時間をかけての対策を余儀なくされるかもしれない。一つの手としては、設備投資など大きな支出のある年に、債権放棄のタイミングを合わせて両者を相殺するという方法がある。また生命保険を使って、年々支払う保険料のうち損金計上する額と同額を債務免除してゆき、満期を迎えたあかつきには、会社が受け取る保険金から残額を返済するというやり方も考えられる。さらには同じ保険でも、満期保険金の受取人を社長にして、会社が支払う年々の保険料という形で借金返済し、それと同額を債務免除していく手法もある。この方法では満期を迎えた時に保険金という一時所得が社長に発生する点に注意したい。
 いっそのこと、債権にかかる相続税負担と債務免除益にかかる法人税負担を比べた上で、あえて法人税を受け入れるというのも一つの考え方かもしれない。相続財産や会社の規模にもよるが、中小法人には法人税の軽減税率が認められているため、相続財産が3千万円超であれば法人税のほうが「お得」というケースも多い。
 どの解決策を採用するにせよ共通しているのは、今日明日にすぐできる方法ではないということだ。会社の経営計画とも照らし合わせながら、他の相続対策と組み合わせて進めていくことが求められる。数十年かけて膨らんだ会社への貸付金をうまくゼロにするためには、相応の時間をかける必要があることを認識しなくてはならない。

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