タックスニュース

2018年10月 5日 金曜日

Vol.0467

<タックスニュース>

「徴収共助」で国外資産8億円徴収  豪人男性による贈与税滞納

 日本の税金を滞納していたオースラリア人男性について、各国の税務当局が協力する「徴収共助」制度を使って、国税庁が約8億円を徴収していたことが分かった。同制度を活用して億単位を徴収したのは初めてだという。2018年9月からは海外口座の情報を自動交換する仕組みがスタートするなど、国境を超えた税務当局の協力体制が着々と構築されつつある。
 8億円を徴収された男性は、数年前に日本に住む親から数十億円の贈与を受けたという。贈与者と受贈者のどちらかが日本国内に住む場合、引き継がれた財産は国内の相続税・贈与税の対象となるが、男性は贈与税を納めず、また督促に対しても納付の意思を示さなかった。東京国税局は男性の国内の預金を差し押さえた上で、国税庁を通じて豪税務当局に「徴収共助」の適用を要請し、豪税務当局は男性の預金を差し押さえて不足分全額を日本に送金した。
 「徴収共助」とは、13年に発効された「税務行政執行共助条約」で定められた3つの取り組みのうちの一つだ。同条約では、(1)租税に関する情報を相互に交換する「情報交換」、(2)滞納者の資産が他国にあるときに、その徴収を依頼できる「徴収共助」、(3)租税に関する文書の宛先が他国にあるときに、送達を依頼できる「送達共助」――で成り立つ。条約には日本、米国、英国、フランス、ドイツ、韓国などが加盟し、現在では53カ国・地域との間で、徴収共助の取り組みが発効している。同制度で億単位を徴収したのは初めてだが、日本はこれまでにも複数のケースで徴収共助を活用して滞納分の国外財産を徴収しているという。
 国外資産を巡る税務当局の取り組みとしては、国外に作った預金口座について、各国の税務当局が情報を交換する「CRS(共通報告基準)」制度が、日本でも9月にスタートしている。基準を適用する国同士が、それぞれの国の金融機関に開設された相手国居住者の口座情報を、年に一回、自動的に交換するという仕組みで、加盟した100を超える国・地域すべてとの間で行われる。今までも必要に応じて税務当局が相手国に情報を請求して取り寄せるというやり取りは行われてきたが、同制度によって個別請求せずとも定期的に最新の情報が送られてくるようになるわけだ。今後は、国内での税滞納に対して徴収共助制度を使い、CRSで情報を得た国外資産を差し押さえるといったケースも出てきそうだ。


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<タックスワンポイント>

まぎらわしい2つの「計画」の違いはどこ?  経営力向上計画と先端設備等導入計画

 国内法人が過去最高の利益を記録する一方で、設備投資が思うように伸びないという状況を打破するため、国は毎年のように企業の設備投資に対する税優遇を拡充している。企業にとってはうれしい話だが、年々変わる制度の内容を把握するのは大変でもある。見直しの過程では類似した制度が併存することもあり、まぎらわしいことこの上ない。
 例えば今だと、新たに取得した設備にかかる償却資産税を減免する制度が二つ存在する。どちらも要件として、設備投資によって生産性が上がるという「計画」を作成して認定を受けることを求めているが、書類の内容は「経営力向上計画」と「先端設備等導入計画」で、認定する主体も違うまったくの別物だ。とはいえ記載内容には重複する部分が多く、補助金の優先採択や金融支援といった優遇内容も共通している。どうやら要件などに違いがあるようだが、実際に利用するならどちらがトクなのだろうか。
 まず「経営力向上計画」は、中小企業等経営強化法という根拠法に基づく制度で、生産性を年1%以上向上させる計画が認められれば、3年間償却資産税が2分の1になるというもの。この計画を認めるのは国だ。税優遇が適用される期限は2019年3月末となっていて、税優遇の他には政府系金融機関からの低利融資や信用保証、ものづくり補助金や事業承継補助金の採択時には加点されるというメリットがある。
 一方の「先端設備等導入計画」は、生産性向上特別措置法に基づく制度で、生産性を年3%以上向上させると、3年間償却資産税が減免されるというもの。具体的な軽減割合は自治体によって異なり、最小でも「経営力向上計画」と同じ2分の1、最大で税負担がゼロとなる。実際には約9割の自治体がゼロ税率を採用しているようだ。こちらの認定主体は市町村で、適用期限は「経営力」より2年長く21年3月末となっている。こちらにも信用保証、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金の加点などの恩恵がある。
 両者を比べての最も大きな違いは、求められる生産性アップの要件だ。「経営力」は年1%に対して「先端設備」は年3%と厳しい条件が設定されている。その分優遇も大きく、後者では自治体にもよるが税負担がゼロまで減る。例えば耐用年数10年で1500万円の設備を取得するケースなら、税負担を3年間で50万円弱軽減できることになり、その恩恵は大きい。両方の償却資産税の優遇を併用することはできないので、購入する設備の性能などによって制度を使い分けたい。ただし補助金によっては、両者の特典を重複して使えるものもあるため、どうせ申請内容が似ているのだから、補助金のために両方認定を受けるのもアリだろう。


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投稿者 税理士法人早川・平会計

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