<タックスニュース>

驚きの財務省案  免税事業者は排除されろってこと?

 2019年10月に導入される予定の軽減税率によって減る税収の穴埋めとして、免税事業者が課税事業者に転向することで生まれる「消費税」を充てる案を財務省がまとめたことが分かった。8%と10%の複数税率を経理するインボイス制度では、免税事業者は消費税の還付を受けられるインボイス(請求書)を発行できないため、取引からの排除が懸念されている。免税事業者を保護するための施策が政府には求められていたが、財務省の案は課税事業者となって消費税を納めるか取引から排除されてつぶれるかの二択を迫るという驚きの内容だった。
 10月27日までに財務省がまとめた資料では、軽減税率によって減る税収は年1兆円と試算。7千億円分についてはすでに、低所得者の介護や医療負担を軽くする総合合算制度の見送り、給与所得控除の縮小やたばこ税の増税などでめどを付けていた。
 残る3千億円分のうち2千億円について財務省が提案したのが、免税事業者が課税事業者に転じることによって生まれる消費税の税収を充てる案だ。2021年から始まるインボイス方式では、課税仕入を100%控除するためには取引相手がインボイスを発行できる課税事業者でなければならない。同じ商売をし、同じ商品を取引しても、相手が免税事業者であれば戻ってくるはずの税金が戻らず損をすることになり、結果的に免税事業者が商取引の現場から排除される可能性が指摘されている。
 財務省の提案は、免税事業者は取引から排除されないために課税事業者に転換するはずとの見方に基づいている。つまり今後、免税事業者の救済のために何らかの手立てを講じる予定はないということだ。
 そもそも免税事業者という制度は、国税庁ホームページに掲載されている税務大学校の論文によれば、「小規模事業者の納税事務負担等に配慮して納税義務を免除する制度」とされている。課税事業者と比べた時の得や損という以前に、小規模事業者の人的コストなどの面に配慮した救済措置ということだ。
 代替財源の穴埋めを目的に「課税事業者になるか、それとも取引から排除されるか」を事業者に自発的に選ばせるのは、見当違いとの指摘を免れないだろう。

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<タックスワンポイント>

税優遇が1年分無効に!?  経営力向上計画の申請を急げ

 今年中に機械装置などを取得して、償却資産税が3年間半分になる特例を利用しようと考えている会社は、特例の申請を急ぐ必要がありそうだ。中小企業庁が「12月に入ってからの申請は、年内に認定を得られない可能性がある」として早期の手続きを呼び掛けている。もし年内に認定が間に合わないと、本来なら3年間受けられる税優遇を2年分しか受けられず、大きな損を被ることになってしまう。
 特例は経営強化法に基づき、ペーパー2枚の「経営力向上計画」を作成して認定を受けると、新たに取得した機械装置などにかかる償却資産税の半減や、各種の金融支援、補助金審査での加点措置などが得られる仕組みだ。償却資産税だけを見ると、今年始まった「先端設備等導入計画」によって得られる優遇のほうが大きくなる可能性があるが、こちらでは年率3%の生産性アップを求められるのに対し、経営力向上計画では1%と達成が易しいという長所がある。
 償却資産税の賦課期日は1月1日のため、その時点で設備が取得され、計画の認定を受けていないと優遇は受けられない。優遇内容は「取得から3年分の税負担を2分の1にする」というものなので、認定が年内に間に合わないと、3年のうち最初の1年が無駄になってしまう。

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