<タックスニュース>

税滞納への過酷な差し押さえで提訴  口座残高0円「生存権の侵害」

 税金の滞納に対する過度な差し押さえは生存権の侵害に当たるとして、宮城県大崎市の女性(63)が、県と市に220万円の損害賠償を求める訴訟を仙台地裁に起こした。
 女性は長男との二人暮らしで、世帯収入は女性のパートによる月収8万?11万円と隔月の年金約7700円のみだった。2008年ごろから国民健康保険税や市民税などを納められず、17年5月の時点で約140万円を滞納していたという。
 これに対し、同年から徴収業務を担当した宮城県地方税滞納整理機構は、分割納付の申し出に応じず、女性は母から借金をして100万円を納めたが、同機構は残額も納めるよう求め、同年9月に女性の口座に振り込まれた給与約8万8000円を差し押さえて納付に充てた。その結果、女性の口座残高は0円になった。
 原告側は、生活保護が必要なほど困窮している世帯の財産を差し押さえることは生存権の侵害だと主張している。さらに給料の支払い当日に給料を預金として差し押さえるのは「脱法行為」と訴えている。
 国税徴収法では滞納者と家族の最低限の生活を保障するため、給料などを「差押禁止債権」として差し押さえてよい金額の上限を厳格に定めている。しかし同法で差し押さえを禁止する財産はあくまで「給与債権」であり、それ以外の財産については触れていないことから、給与が口座に振り込まれた瞬間に給与債権ではなく「預金債権」に変わったとして、上限なく差し押さえる手法が全国で乱発されている。

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<タックスワンポイント>

お年玉は贈与税の対象外  高額過ぎなければOK

 ZOZOの前澤友作社長が私財から1億円を支出して100万円ずつ100人に配った「お年玉企画」は大きな話題となったが、この100万円は、税務上では贈与財産という扱いになる。そのため、100万円の当選者が当選金以外にどこからか10万円を超える贈与を受けていると、年間の非課税枠(110万円)を超えてしまうため贈与税の課税対象となる。
 前澤社長からの”お年玉”とは違い、年始の恒例として親戚から渡される一般的なお年玉であれば、合計額が110万円を超えても通常は課税されることはない。税法上、「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品」は財産の性質や贈与の目的から課税対象外とされていて、お年玉は「年末年始の贈答」に該当するためだ。お年玉以外の贈与が110万円以下なら、お年玉を何人からもらっても贈与税はゼロとなる。
 ただし、お年玉が「社会通念上相当と認められるもの」の範囲内の金額でなければ贈与税が課税される。具体的な金額基準はないが、百万円単位のお年玉ともなれば税務署ににらまれるのは確実だ。

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