<タックスニュース>

米・ニューヨーク州が「渋滞税」を導入  日本でも五輪期間に実施か

 市街地の交通渋滞を解消するため、ドライバーから「渋滞税」を徴収することを米・ニューヨーク州議会が決めた。4月1日に可決した予算案に盛り込まれた。慢性的な交通渋滞を緩和し、税収を地下鉄など公共交通機構の整備に充てるという。渋滞税の導入は全米で初めて。
 ニューヨーク市の深刻な道路渋滞は以前から有名だったが、近年ではウーバーなどの配車サービスが普及したことにより、加速度的にひどくなっているという。そこで新税では、ニューヨーク市でも最も渋滞の多いマンハッタン島の南側に乗り入れる自動車から、1日1回徴収する。税額は固まっていないが、米国内メディアによれば普通車で11ドル(約1200円)、トラックは25ドル(約2800円)程度を徴収する。ただしタクシーやウーバーなどの配車業については適用外とする案で検討が進んでいるといい、どこまで渋滞緩和に実効性を発揮するかは未知数だ。早ければ来年末から徴収を始める。
 渋滞税の導入は全米では初だが、世界的にみれば英・ロンドン市という先行事例がある。同市では道路渋滞が社会問題化していた2003年に渋滞税を導入し、現在では該当エリアに乗り入れる車から1日10ポンド(約1500円)を徴収している。該当エリア内に住む人も自動車を使う時には1ポンドの納付が課されている。同市の交通局によれば渋滞税の導入によって渋滞は30%解消され、交通量は15%減少したという。
 日本では、恒久的な渋滞税が導入されたことはない。しかし来年開催の東京五輪では深刻な交通混雑が予想されるため、首都高速道路の通行料を時間帯や車種によって変動させる「ロードプライシング」の導入が議論されている。首都高の通行料は現在最大で1300円(ETC普通車)だが、競技が行われる日中は最大2~3千円まで値上げする案が出ている。すでに国土交通省や高速道路会社が具体的な検討を進めていて、日本でも「渋滞税」が導入される日は遠くなさそうだ。

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<タックスワンポイント>

政治家の献金やパーティー券は寄付金扱いで  実際に出席すれば交際費になることも

 国民の暮らしに直結する今年の行事といえば、なんといっても春の統一地方選と夏の参院選だろう。選挙の結果はそのまま明日の生活を変える。そのため国民の投票行動にはそれぞれの思惑が込められ、いかに自分の理想に近づけるかを一票に託す。
 それはビジネスでも同じことで、候補者の政策が自社の利益になると思えば投票はもちろん、業界を挙げて選挙活動の応援もし、さらに献金も行う。
 ただ覚えておきたいのは、献金にあたって政治資金規正法では、個人も企業も、政治家個人への直接の献金は認められないということだ。特に企業は、政治家が特定の企業に見返りを与えることにつながらないようにするためだという。本来、見返りを求めていないのであれば、その支出は経営者による企業への背任行為ともとられかねないのであるが、建前として法律ではそう決められている。献金するとしても政党に直接、または政党が指定する政治資金団体を通じてしか支出できない。
 また、会社法の側面からも規制がある。前述のように、献金は会社や株主の利益に直接的に資するものではないとされていることから、献金は会社の規模や実績など諸々の事情を考慮して合理的な範囲内で行わなくてはならない。会社や業界のための献金であっても、建前としての理由を株主や利害関係者向けに用意しておく必要がある。
 そもそも政治献金は寄付金であるので、損金として認められるのは損金算入限度額までだ。自社の限度額を見越して、他の寄付とのバランスをとって損金になる分だけの献金をするのがスマートな経営といえそうだ。
 政治献金と隣接した支出に政治資金パーティーの参加費がある。飲食のある会合への参加だが、この費用は原則的に寄付金として扱われるので、寄付金限度額を計算する際に忘れないようにしたい。もともと政治家のパーティーの目的は飲食や親睦ではなく、券の購入そのものに意義がある。そのため実際はパーティー券を購入しても出席しないことも多いため、原則として交際費ではなく、寄付金となっている。もちろん、本当に出席したのであれば交際費になるが例外扱いであるため、証拠となるメモや写真などを取っておくほうが無難だ。

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