<タックスニュース>

GAFA狙い撃ち  G20でデジタル課税創設へ

 日米欧や新興国などの20カ国・地域(G20)が6月8~9日、福岡市で開かれる財務相・中央銀行総裁会議でデジタル経済に対応する法人課税の基本方針を打ち出す。企業の本社機能がある国から、実際にサービス利用者がいる国に対して税収を配分する仕組みだ。米国のGAFA(グーグル、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、アップル)など世界をまたいで事業を展開し経済構造を大きく変えている多国籍企業を狙ったもので、新たなルールの最終合意は2020年を見込んでいる。
 現在の国際課税は、工場や支店などの物理的な拠点ごとの利益によって課税額を算定するのが原則だ。これに対し、GAFAなどはネットを通じて世界中でサービスを提供する一方、あえて拠点を設けず、利益につながる知的財産や顧客のデータを税率の低い国に置いて税負担を軽くしてきた。G20は経済協力開発機構(OECD)に指示し、国際的な議論を開始。米国を含め、主要国は利用者がいる国に税収を配分することで意見が一致しているという。
 G20を境に、各国税収への影響も試算したうえで、具体的な税金の計算方式や新ルールが適用される企業の範囲などを検討する。利益率が高い企業に適用対象を絞る案も浮上している。しかし制度設計によってはIT企業以外にも影響を与え、自動車メーカーやアパレルブランドなどの税金の支払先が本国から進出先に移る可能性が出てくる。各国とも税収を確保したい思惑があるため、具体策が煮詰まっていくにつれ調整が難しくなっていくとみられる。


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<タックスワンポイント>

贈与に必要な「あげましょう」「もらいます」  調査を受ければ9割に申告漏れ

 「ところで奥様、過去に働かれていたことはありますか」「いえ、ずっと専業主婦です」「おかしいですねえ、どうしてこんなに預金に残高があるんでしょうか。これは亡くなったご主人の収入ですね。贈与の証拠がなければ、相続税の対象となってしまいますが…」
 非常によくある、相続税の税務調査でのやり取りだ。亡くなった夫としては生前に妻に財産を渡したつもりだったかもしれないが、それを妻が証明できなければ贈与は成立せず、相続財産として相続税を課されてしまう。2017事務年度に贈与税の税務調査は3809件実施され、なんとそのうち93・6%が何らかの申告漏れなどを指摘されている。
 贈与の大原則は、「ただであげましょう」「ただでもらいます」という双方の合意と認識があることだ。例えば孫名義の通帳を管理していて自分名義の通帳から移し替えるだけで贈与をしたつもりになっているケースがあるが、もらった側が知らないで贈与が成立することはない。贈与をするなら、きちんと相手に伝えることと、もらった人に財産が実際に渡って、もらった人自身によって管理されている――という事実が重要となる。
 合意の確認は書面でしなくても、口頭でもかまわない。しかし税務調査の場面で証明できる自信がないなら、契約書などの書面にして自署押印しておくと非常に心強いだろう。公証役場で確定日付を打ってもらえば、その日に契約書が存在したことを証明してくれるため、さらに安心だ。
 また、モノの実際の引き渡しなくして贈与は成立しない。現金や預金なら、あげる人の通帳からもらう人の管理する通帳へきちんと振り込まれていることが贈与の証明となる。不動産を贈与するなら、登記などの名義変更手続きを絶対に忘れてはならない。
 年間110万円を超える贈与は贈与税の納税が必要となるため、あえて贈与の証明として111万円の贈与をするケースもよく見かけるが、申告をしたからといって必ず相続税を免れることができるというわけでもない。贈与が成立したという事実があり、証明書類を整えておけば心配することはないだろう。


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