<タックスニュース>

納税者の反論  一部でも認められたのは6件

 国税の課税処分を不服とする納税者が起こした裁判のうち、主張が一部でも認められたのは3・4%にとどまるとのデータを国税庁が発表した。前年から6・6ポイントの減少。納税者の主張が認められるかは個々のケースによるものの、国税を相手取った裁判で勝つのは極めて”狭き門”であることが改めて表れたかたちだ。
 国税庁がこのほど公表したデータによれば、2018年度に終結した国税訴訟は177件あった。そのうち取り下げや棄却を含めて国税の主張が全面的に通ったのが171件だった。一方、納税者の主張が一部認められたもの(一部認容)は3件、全面的に認められたもの(全部認容)は3件あった。合わせて6件で、全体の3・4%に当たり、前年度の一部認容10件、全部認容11件から大きく減った。
 また18年度に新たに発生した訴訟は181件で、前年度より1割弱減っている。税目別に見ると最も多かったのは所得税を巡る60件で、次いで法人税53件、相続税・贈与税20件、消費税13件と続いた。徴収手続きなどに関するものも26件あった。国税を相手取る訴訟は全体的に減少傾向にあり、近年のピークだった11年には391件発生したが、そこから7年で半分以下に減っている。
 納税者が異議を申し立てる方法は三段階あり、訴訟はその最終段階となるものだ。その前の第二段階は、国税不服審判所への審査請求で、第一段階が再調査の請求となる。国税庁はこの再調査の請求についてもデータを発表していて、18年度には2150件の再調査請求が処理されている。こちらで納税者の請求が認められた割合は12・3%だった。認められた264件のうち、一部認容が237件、全部認容27件となっている。
 なお16年4月からは、再調査の請求を省略して不服審判所に審査請求ができるようになっている。その影響で、再調査請求の件数は15年の3200件から16年には1805件、17年には1726件と激減していたが、18年度には2150件と再び増えている。

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<タックスワンポイント>

共有の土地を分割すると税金かかる?  土地の交換は等価でも原則課税

 相続などをきっかけに共有状態になった土地を、後から「やはりそれぞれ自分で所有したい」と考えて分割したとする。その時、分割後の土地の価額の比率が、もともと共有状態だった時の両者の持ち分の差におおむね等しければ、どちらにも譲渡所得税が課されることはない。
 例えば持ち分1:1で共有していた土地を、そのまま半分に分けたケースなどがこれに当たる。両者の持ち分が対等である必要はなく、もともとの持ち分が4:1であれば、分割後のそれぞれの土地の価格が4:1であれば課税関係は生じないということだ。価額についても厳密に持ち分通りである必要はなく、「おおむね等しい」と言える割合であればよい。要件となっているのはあくまで「価額」であるため、「面積」に差があっても問題ない。なお、分割の際に必要となった測量費用などは原則として取得費に加算される。
 ひとつ気を付けたいのは、例えばAとBという2つの土地をそれぞれ1:1で2人が共有していた時に、「共有状態は不便なので、あなたの持つAの持ち分を私にください。私はBの持ち分をあなたにあげます」というようなケースだ。たとえ結果としてそれぞれ相手に渡した土地の価額が等しかったとしても、この場合には原則として譲渡所得税が課されてしまう。ただしこの場合でも、一定の要件を満たせば課税を免れる特例がある。特例を利用するための要件とは、(1)1年以上所有していた土地であること、(2)交換のためにわざわざ取得した土地でないこと、(3)交換後も元の用途と同じ使い方をすること、(4)両者の差額が2割を超えないこと――などだ。

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